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「かぁ~、暑ィな~~」


 無意識に手を団扇みたいにして、俺は顔をパタパタとあおいでいた。一昔前とは違って、夏場にスーツで出勤するなんて恐ろしい慣習はなくなったものの、それでもこの時期の暑さは耐え難い。なんなら、今着ている半袖のシャツも脱いで、素っ裸のフルチンになりたいくらいだ。まあ、そんなことをすれば、同僚にお縄にされちまうが……。


 俺の名前は小野勇(おの いさむ)、29歳。S市警刑事課、強行犯係所属。身長189センチ、体重112キロ。自分で言うのもなんだが、大学までラグビー漬けだったせいで、身体つきはかなり良い方だ。街を歩けば、二度見されることもある──、女に、ではなく男に……。


 童貞じゃあないし既婚だが、妻以外とはこのガチムチな体目的の女と何回かセックスしたことがあるだけで、まともなお付き合いというやつをしたことはない。


 まあ、そんな話はどうでもいい。


 今日、俺は署長の駒田力哉(こまだ りきや)に呼び出された。ノンキャリア組にもかかわらず、45歳という異例の若さで警視まで上り詰めた彼は、部下である俺たちの憧れの的だ。髪はいつも整髪料でかっちりと固めてオールバックに決めてるし、渋み溢れるその男前な顔は、同性から見ても見惚れてしまう。おまけに、空色の警官服は、ムチムチとした豊富な筋肉ではち切れそうだ。


「よく来てくれた、小野巡査部長。唐突で驚くかもしれんが、君は、特殊潜入に興味はあるか?」


 相変わらずかっこいいな……なんて見とれていると、駒田署長の艶っぽいバリトンボイスがそう切り出した。


「えーっと、潜入……ですか? 潜入捜査なら、俺より適任がいるでしょう? 県警の組対5課とか……」


「それがな……ダメなんだ。この任務だけは、君みたいな【立派な肉体】を持った男にしか頼めないんだよ」


 豪華な署長室のやたら頑丈そうなテーブルの上には、封筒に入った写真と資料が、これみよがしに散らばっている。ファイルに挟まれた様々な写真。異様な仮面を着けた、露出の多い男たちがそこには写っていた。下着だけしか穿いていないやつならまだしも、すっぽんぽんでチンポをおっ勃てているやつまでいたせいで、俺はおったまげて、思わず仰け反ってしまった。


「ちょっ、待ってくださいよ、署長!! 俺みたいな男って……これ全部ホモじゃないですか……?!」


「……その通り。ここに写っている参加者は、全員ゲイだ。だが、ただの同性愛者による乱交パーティーじゃない。ある噂があるんだ。【参加者同士の肉体が入れ替わる】というな……」


 馬鹿馬鹿しいと一蹴したかった。身体が入れ替わるだなんて、漫画か映画の世界の話だ。だが、署長は表情を崩さずに話を続ける。


「まあ、私もそんな眉唾な話は信じちゃいないさ。ただ、この【マスカレード】という名のパーティーの参加者で、消息を絶った者が何人かいるらしくてな。警察としては看過できない。そこで君に白羽の矢が立ったってわけだ。身長、体格、顔立ち──主催側が歓迎する条件に、君はぴったりなんだよ。得体の知れない捜査だから気味が悪いかもしれんが、どうか……頼まれてくれないか?」


 大きな両掌をテーブルに付け、頭を下げられた俺は、「わ……わかりました」と覚悟を決めるしかなかった。



***


 三日後、指定されたビルの地下に俺はいた。スタッフらしき男たちについていくと、身体検査を受けたあと、全裸にひん剥かれた。


「マジかよ……」


 渡されたのは、顔の上半分を隠す仮面と、大事な部分を一切隠そうとしない小さなビキニパンツ、それに黒のビジネスソックスと革靴。絶対これ、主催者側の中に、変な性癖持ちがいるだろ……。


 文句を言うわけにもいかず、仕方なく着替え、仮面を装着すると、薄暗い個室のベッドに横たわるよう命じられた。部屋には甘い香りのするガスが充満し、意識が薄れていく。


 目を覚ました時、俺は【俺】じゃなくなっていた。目の前のバカでかい鏡には、俺より少し小柄で筋肉質な、顎髭が生えた男が映っている。肌の色も、骨格も、何もかも俺とは違う。


「……まさか、本当に……他人と身体が入れ替わった……?」


 声には違和感があるし、体も上手く動かすことができない。戸惑いながらフラフラと部屋から出ると、周囲には俺と似たような仮面と下着姿の男たちが酒を片手に談笑していた。

 鼻が麻痺するくらいに甘ったるい酒精の匂いに、視界を遮るほどのタバコの紫煙。もしかしたら、大麻の匂いなんかも混じっているかもしれない。そこには異様な空気と、淫靡な熱気が漂っていた。


 しばらくして、ひとりの男が俺に声をかけてきた。


「あんた、もしかして初めての参加者か? 動きがぎこちないな」


 野太い声をした彼の体はボディービルダーのようにごつく、肌はこんがりと日に焼けていた。丸太のようにぶっとい腕に、腹筋はくっきりと六つに割れ、大胸筋は丸々としていて乳首はツンと尖っている。そんな逞しい彼の股間は、小さな布きれを押し上げて窮屈そうにしていた。


「あ、ああ……そうなんだ。こんな体験初めてで、慣れなくてな」


「ハハハ、俺も最初はそうだったよ。気にするな、すぐに馴染む。身体ってのは、意外とすぐ【自分のモノ】になるもんさ。楽しめよ、酒でも飲んで。ほら」


 強引に肩を抱き寄せられ、壁際のソファに連れていかれる。隣に座った彼は、酒をグラスに注ぐと、無理やり俺に飲ませた。アルコールは得意な俺だったが、一気に飲み干すとすぐに酔いが回り、頭がクラクラしてきた。どうやら今俺が使っているこの肉体は、酒に弱いらしい。


 やがて彼と酒を酌み交わすうちに、俺は自分の中で何かが変わっていくのを感じた。知らない男の身体の中にいるという狂気じみた状況なのに、不思議と恐怖心は薄れ、頭の中が快楽を求め始めたのだ。そして、目の前の筋肉隆々な男の肉体を見て、反射的にゴクリと生唾を飲み込んでしまっていた。何気ない仕草、ツンとする汗臭い雄の匂い、たくましい筋肉の動き……なぜか、それが妙に気になる。


「俺は、あんたが気に入ったよ。あんたはどうだ? 良かったら、一緒に遊ばないか?」


 男は俺の腰を引き寄せ、耳元で囁いた。熱い吐息が首筋にかかり、鳥肌が立つ。この肉体になってから、ことあるごとに心臓がバクバクと激しく鼓動している。ホモの脳みそを使っているせいで、性的指向まで変わってしまったのだろうか?


「ちょ、ちょっと待ってくれ……俺、まだ心の準備が……」


「心の準備? 心の準備ねえ……そんなもん必要ないだろ。だってよぉ、【体】はとうに準備万端じゃないか♥」


 彼の手が、俺の仮面越しの頬に触れる。熱くてゴツゴツした手だ。そして、俺の唇に、彼の厚い唇が重ねられる。舌が強引に侵入してくると、口の中を蹂躙された。


「う……ん…ッ♥」


 嫌悪感と同時に、言いようのない快感が背筋を駆け巡った。まるで自分が自分じゃなくなったみたいだ。男の荒々しいキスに応えているうちに股間が熱くなって、一瞬で小さな布切れからチンポが飛び出した。女とのキスなんかとは比べ物にならない。キンタマの中で精子が暴れまわっているのを感じる。この身体はもう、目の前の男を欲しがっているようだ。


 俺の中の守らないといけない大切な部分が、確実に軋み始めていた。男に興味を持ったことなど、これまでの人生で一度もなかった。なのに今は、この知らない野郎の肌に触れたい衝動を抑えられない。彼の肉体から放たれる汗の匂いが俺の鼻腔をくすぐり、アルコールの回った頭の中の思考が曖昧になっていく。


──これも任務の一環だ。円滑な捜査をするためには、必要なことなんだ。


 俺は自分に言い聞かせるようにそう心の中で呟き、彼の筋肉の盛り上がった胸板に顔を埋めた。木の幹のように太い首筋に鼻先を擦り付け、甘えるようにキスを返すと、男が低い声で嬉しそうに笑った。


「へぇ……ノリノリじゃねぇか。よし、もっと気持ち良くなろうぜ♥」


 頭の中が、男に受け入れられたことで多幸感で満たされる。チンポから我慢汁がダラダラ流れ、俺の意思とは裏腹に、尻穴がキュンキュンと疼いて止まらない。ケツなんて人生で一度も弄ったことがないのに、男に掘られる感覚が思い出したように蘇ってくる。知らないはずの記憶が、脳の奥底から湧き出してくるみたいだ。極太の肉棒で肛門の中をゴリゴリと削られるような快楽が、この肉体にはべっとりとこびり付いている。


「なぁ……、早く……早く欲しい……っ♥♥」


 俺は我慢できずに尻を突き出し、ビキニパンツの食い込んだ割れ目を、男の股間に擦り付けていた。彼は俺の懇願に答えるように、ニヤリと笑い、俺の仮面の奥を覗き込んだ。


「焦るなよ……、奥の部屋でゆっくりと楽しもうな♥」


──これも捜査のためだ。


 俺は男の言葉に頷きながら、彼の首に両腕を回した。脳内ではドーパミンがドバドバと生成され、心臓は壊れそうなほどバクバクと音を立てて、身体中が熱くなる。チンポはガチガチに勃起していて、鈴口からは透明な汁が糸を引いて垂れている。ケツ穴はヒクヒクと痙攣し、目の前の男の巨根を受け入れる準備を整えていた。


 罪悪感など湧かない。きっと俺と肉体が入れ替わった相手も、俺の身体でこいつみたいなガチムチ野郎と交尾しているだろうから。そう思うと、倒錯的な興奮に支配されて、ゾクゾクとするような快感が俺の口元を緩ませた。




 会場の奥に位置する小さな個室。その部屋に足を踏み入れると、薄暗い照明と湿った空気が俺たちを迎えてくれた。テーブルにはローションボトルや、折りたたまれたタオルなどが綺麗に並んでいる。


「ほら、座れよ」


 促されるままベッドに腰掛けると、男も隣に座った。今の俺の身長は、おそらく170センチ前後。そんな俺に対して、彼は本来の俺と同じかそれ以上のガタイを持っていた。久方ぶりに他人を見上げる形になっていることに、奇妙な新鮮さを感じた。同時に俺の鼻息が荒くなる。今の俺が使っている肉体は、自分よりもデカい身体を持つ男に、極度に興奮するような傾向があるのかもしれない。


「よう、兄さん……」


 男が耳元で囁いた。その声は低く、まるで毒のように俺の耳から入り込み脳を溶かしていくようだった。思わず息を飲む。


「兄さん……すげぇ濡れてるよ」


「……!」


 股間を見下ろすと、確かに俺の穿いているビキニパンツは黒ずんでいた。我慢汁で下着がこんなにビショビショになるなんて、今までの俺ならありえないことだった。


「恥ずかしがんなって。ここではみんなそうなるんだ。あんたも、ゲイなんだからこういうのが好きなんだろ?」


 男なんて好きじゃない。危うく、口からそんな言葉が飛び出すところだった。体育会系の部活の中で、お遊びでキスをしてみたこともあった。しかし気色悪いだけで、男が男を好きになるなんてありえない……そう思っていたのに──。


 しかし、どう考えてもこの身体は反応してしまっている。彼の言葉を否定することができなかった。この肉体の持つ記憶や習性のせいなのか? それとも、俺の精神自体が変化しつつあるのだろうか? 答えは出ないまま、俺はただ呆然と男を見つめていた。


「優しくしてやるよ……」


 俺の身体を押し倒し、男が覆いかぶさってくる。抵抗しようと思えばできる。だが、俺の身体は石になったみたいに硬直したまま動かなかった。代わりに、心臓だけが早鐘のように打ち鳴っている。柔らかな感触とともに、口内に舌先が入り込んできた。生々しい唾液の音や温もりがダイレクトに伝わり、脳みそが沸騰しそうになる。

 無意識のうちに俺の今の肉体は、俺を押し倒す巨躯の男に犯されようと、ケツの穴を広げて待っていた。ビキニパンツはもう完全にその役割を放棄しており、大事な場所を護るものなど何ひとつ無い。俺は身を硬直させながらも、次なる展開に備えているほかなかった。


「大丈夫だ……力抜いて」


 そんな俺の緊張を察知したのか、男が優しく囁くように言った。その言葉にはどこか安心感があり、同時に情けなさも覚えてしまう。


(俺は刑事だってのに、何やってんだ……)


 自問自答している間にも事態は進行していく。男のごつい指先が俺の尻肉を左右に拡げるように動いたかと思うと、次の瞬間には圧倒的な質量感を持ったモノが、穴に押しつけられていた。


「ぐっ……!!」


 異物感というよりも、肛門を裂かれる痛みの方が遥かに勝る。それでもこの肉体は、男同士のセックス自体には慣れてしまっているらしく、なんとか順応しようと試みているようだ。


「痛いか? 少し我慢してくれよ……すぐ気持ちよくなるから……な?」


 俺の肉体が感じる恐怖と苦痛とは裏腹に、男が容赦なく硬いモノを、グリグリと押し込んでくる。


──ズボッ、ズボズボズボッ!!!


「ひぃぃっ!! そ、そんな奥まで……っ!」


 腸壁全体を使って肉棒を受け入れているという感覚。内臓まで突き上げられてしまいそうな感覚だった。


「ハアァ〜、全部入った……♥♥ 動くぞ……」


 ピストン運動が始まった。最初はゆっくりと。しかし徐々にペースアップしていくにつれて、その勢いは増していった。ぶっといチンポを抜き差しされるたびに、脳内で火花が飛び散るような錯覚さえ覚えるほど、強烈な快感が駆け巡る。


「あ゛ぁ〜っ!! やばい! もっと激しくぅ~~~♥♥♥」


 自分でも驚くくらい大きな叫び声が出てしまったことに、戸惑っている暇もない程に乱れてしまう。もう何も考えられないくらい気持ちいい。ケツにチンポをハメられるのが、こんなに気持ちいいなんて!!


「おらっ! どうだ!!」


「イイッ♥ イイ゛ッ……、アナルセックス最高!!! ケツの穴が、おマンコになっちまう♥♥」


 俺のアナルはもはや、完全に雌のマンコそっくりの機能を果たしていた。腸壁を擦られれば、チンポに合わせて肉がキュウッと締まる。肛門括約筋の締め付け具合だって完璧だ。まさに、男に奉仕するために特化されたものと言っても、過言じゃあない。


「ふぅ……すごい締まり具合だな……。なかなかいいケツマンしてるじゃねぇか……。たっぷり種付けしてやるからな……♥」


 俺の尻を鷲掴みにすると、男は激しくピストン運動を繰り返した。その度に肛門から溢れ出す粘液が泡立ち、結合部からグチュグチュという淫靡な水音を奏でている。


(なんだよこれ……。なんで俺、男のチンポでこんなに感じちゃってるんだよ……)


 妻もいて、娘もいる身だというのに、今の自分は狂おしいほどに野郎のチンポを欲しがって悦んでいる。そんな自分を受け入れることは到底できずにいたが、『これは仕事なのだから仕方ない』という免罪符じみた思想によって納得させようとする自分もいる。この肉体も本来の自分の肉体ではないから、好き勝手しても良いだろうと言い聞かせるように考えるしか方法は無かった。


 本心ではどうなのかもわからないまま、時間だけが過ぎていき……やがて限界を迎えた俺は、他人の肉体で絶頂を迎えようとしていた。


「イクッ! イッちまう゛ぅぅっ!!」


「俺もだっ!!」


 男の腰振りが更に加速した。腸内の最深部まで到達すると同時に射精が始まる。灼熱の奔流が俺の中を満たし、全身を震わせながら俺もまた果てた。


「「おぉぉおおおっ♥♥♥」」


 勢いよく噴き出した俺の精液は、自分の顔や胸元だけでなく、シーツをビチャビチャに濡らすほどの量だった。男の濃厚なザーメンも、俺の腸内をどっぷりと満たし、行き場を失った液体が逆流して俺の肛門から溢れ出していた。


 男なのに、異性愛者なのに、犯されて中出しされている今の状況に対する怒りや恥辱といった感情と同時に、奇妙な充足感と多幸感も混在していて困惑せざるを得なかった。自分よりも優れた肉体を持つ雄に支配される快楽こそが、求め続けていたものかもしれないと錯覚してしまうくらいだ。この男の肉体に馴染むだけでなく、心まで強引に作り変えられていく気がしてならなかった。


「おい、兄さん大丈夫か? いいケツマンだったぜ……、また会ったらヤろうな。今度は俺がハメられる側かも知れねえがな♥」




 この胡散くさい男だらけのパーティー、【マスカレード】への参加を命じられた当初、俺は嫌悪しか感じていなかった。


 訳の分からない場所、【入れ替わり】などという理解不能な性癖を持った連中。全裸に近い格好で見ず知らずのホモ野郎どもと酒を酌み交わし、あまつさえセックスをするなど、刑事としても人間としても、到底推し量れる世界じゃなかった。


 だが、今となってはどうだろう──。俺は、あの【非現実】を心待ちにするようになっていた。


 一度目、俺が宿ったのは四十代くらいの、毛深くてマッチョだが、あまり背の高くない男の身体だった。他人の身体を使うことが、最初は気味が悪くて仕方なかった。だが、初めて味わう快楽に、俺の意識は揺らぎ始めた。


 二度目はジムトレーナー風の若い筋肉質な男。体脂肪の少ない引き締まった身体。チンポを初めて男のケツの穴に挿入した時の感触は、最高だった。


 三度目は彫りの深い顔立ちを持った、ハーフっぽい浅黒い肌の男。身体も欲望も、獣のように激しかった。あの夜、俺は何度も昂ぶり、一晩中掘って掘られてを繰り返した。



「あ~……、うむ、なるほど……。本当に他人と肉体が入れ替わったのか、そりゃあすごい……な」


 潜入捜査を三度終えて、俺は【マスカレード】についての報告を行った。両手を組んで、その上に顎を乗せた駒田署長の表情は芳しくない。呆れたような目つき。署長が俺の言うことを信じていないことは明白だった。だが、嘘だと言い張る証拠もないからか、とりあえずは話を聞こうとしているようだった。


「はい、署長のおっしゃった通りです。【マスカレード】のたびに、俺は他人の身体と入れ替わって、毎回まったく異なる外見の人間になっていました!」 


「そ、そうか……。とにかく【マスカレード】については、調査を続行してくれ。もしかしたら、大規模な犯罪に繋がっている可能性もあるしな」


「了解しました!」


 大げさに熱弁してみたものの、結局、駒田署長は、俺が何らかの幻覚でも見ていたのだろうと結論づけたようだ。当然と言えば当然だ。この世の中の常識に照らし合わせれば、肉体が入れ替わるなんて馬鹿げた話を信じる方が難しい。だが、潜入捜査を続行できるようになったのはありがたかった。もはや俺の生きる糧は、【マスカレード】の中でだけでしか満たされないようになっていたからだ。



……そして、今夜。


 俺はまた、別の男の身体に入っていた。


 大きな鏡に映るのは、相も変わらず顔の上半分を黒いマスクで隠し、きつめのビキニパンツ一枚を穿いた【自分ではない男】の姿。広い肩、盛り上がった大胸筋に少し緩んだ腹筋──思わず口元が緩んでしまう。俺はもう、すっかり肉体交換の虜だった。


「今日もイイ身体だ……♥」


 思わず独りごちた【俺】のモノではない声が鼓膜を震わせ、他人と肉体が入れ替わったことを実感させてくれる。もはや【入れ替わり】という事象に対しても慣れ、すぐに違和感を覚えなくなった。


 会場の照明が少し落ちる。この異様な雰囲気を和らげるような軽い音楽とともに、男たちがグラスを持って甘い言葉を囁き始める。そこに、俺よりも一回りは大きい、まるで戦士のような体格の男が近づいてきた。


「なあ、良ければ一緒にどうだ?」


 屈強な肉体に相応しい色気のある低い声に誘われるように、俺は男に歩み寄る。彼の股間はすでに盛り上がりを見せていた。視線が交差する。本能が告げるままに、俺は彼の太い首に腕を絡めると、互いの体温を求めるように抱き合いキスを交わした。


「んむっ……♥」


 唾液を交換する音が耳の中で反響する。筋肉と筋肉がぶつかる音や、硬くなったチンポ同士が擦れ合う感触が脳髄を痺れさせる。熱い吐息を漏らしながら男の分厚い胸板に顔を埋めると、心臓の音まで聞こえてきそうだ。柔らかい女性の体より、ずっとガサガサしていて無骨な感触。男の熱い筋肉が、たまらなく愛おしい。


(ああ……やっぱりこれだ……。俺という人間は、雄同士の交尾をするために生まれてきたんだ。だけど……)


 セックスの最中、ふと、怖くなった。もしこの潜入捜査が終わり、【マスカレード】に参加できなくなったとき、俺は元の【真面目な刑事】の生活に戻れるのだろうか?


「どうした、兄ちゃん? 不安なことでもあるのか? 今だけはそんなこと忘れて、俺と楽しもうぜ」


 見透かしたように、男が優しく声をかけてきた。その言葉が麻薬のように脳を痺れさせる。つい先日までは、ケツ穴を犯されるなんて、気持ち悪いと思っていた。だが今、俺は男の肉棒に貫かれたくて堪らない。この肉体はそれを欲しているのだ。いや、もはや俺の魂すらもそれを望んでしまっているのかも知れない。


 個室の中、獣のような息遣いに包まれながら、俺はただ男の腕の中で喘ぎ続けた。




「……なんだ、これ……」


 五回目の【入れ替わり】。目を覚ました瞬間、俺は自分の身体に戦慄した。


 ぷっくりと膨らんだ乳首には、シルバーのピアスが。そして腕から肩、そして胸元にかけて、立派な入れ墨が広がっていたのだ。肌は浅黒く、筋肉質でありながらも分厚い脂肪に覆われている。触れた指先には、タバコのヤニの匂いが染みついている気さえする。下腹部に目を向けると、そこには──


「っ……!」


 男根には、いくつもの真珠が埋め込まれていた。ぞわり、と全身に嫌悪が走る。ヤクザ──この肉体は、間違いなく裏社会の人間のモノだ。正義感を胸に刑事として生きてきた俺が、よりにもよって反社会勢力の身体に入ってしまった。心臓の鼓動がドクドクと速くなって、ぶわりと汗が吹き出す。


 恐怖と不快感。だが、それと同時に……


(……これが……俺……なのか?)


 俺は呆然としながらも、目の前の鏡に映る自分を凝視していた。太い眉、鋭い眼光。短く刈り込まれた髪にはちらほらと白髪が混じり、顎には刀傷のような跡がうっすらと残っている。


 この男の身体に慣れたらヤバい! 刑事としての本能が警鐘を鳴らす一方で、別の何かが囁く。


──刑事である俺が、正反対であるこのヤクザの肉体を使えば、どれだけ気持ちよくなれるんだろう?


(……っ!!)


 慌ててその考えを振り払おうとしたが、下半身だけは嘘をつけないらしい。この身体は長い間、禁欲してきたのだろうか? 脳みその中がぐちゃぐちゃになりそうなくらいに混乱しているのに、グロテスクなチンポは、まるで俺の意思に反して蠢く別の生き物みたいだ。キンタマの中には精子がたっぷりと詰まっているのか、丸々と肥え太っている。


 早く中身を出させてくれと、真珠が埋め込まれた竿がビクビクと震えた。ごつい指で撫でてやると、これまでに感じたことのない強烈な刺激が走る。


(あぁ……すげぇ……ヤバイなこれ……♥)


 赤黒い亀頭からは、すでに透明な液体が滲み出ている。どうせ、パーティーが終わると元の刑事の身体に戻れるんだ。これまでみたいに、他人の肉体でのセックスを楽しもう。


 不安と好奇心の狭間で揺れながら、俺は会場へと向かった。会場はいつもと同じ、淫靡な空気に包まれている。その中に、一際目を引く男がいた。大柄で、顔の下半分だけを覗かせたマスクの奥から漂う、どこか見覚えのある風貌。


 あれは……俺の身体だ!


「おいっ! なあ、兄ちゃん。もしかしてその身体、俺のじゃないか?」


 【俺】の唇から紡がれる低い声。違和感があるが、色気がにじみ出ている。


「おぉ、やっぱ俺の身体じゃねえか。俺の身体はどうだ? 気持ちいいと思ってもらえてたらいいんだけどよ……」


 ベタベタと俺の体中を触ってきた目の前の男は、自ら山口重雄(やまぐち しげお)と名乗った。つい俺も、反射的に本名を名乗ってしまった。まずいと一瞬焦ったが、俺の名前はそれほど珍しくもないから大丈夫だろう。


「【マスカレード】中に入れ替わった者同士で会うのは、俺も初めてだな。けど……面白いもんだな。他人の目で、自分を見るってのは。なんだか……、エロく見えて仕方ないぜ♥」


 そう言って、重雄は俺の腰に手を回してきた。ごつごつとした掌。【俺】の手なのに、興奮してしまう。


「せっかくの機会だし、ヤらねえか? 入れ替わった者同士でヤるって考えただけで、めちゃくちゃ興奮しちまうよな♥」


 その声に、身体がビクリと反応する。これまでも、他人の身体で何度か抱かれてきた。でも、自分の身体に抱かれる。それは、初めてのことだった。


「……あぁ。行こうか」


 答えながら、自分の声じゃない低く濁った声帯が響いた。




 個室に入り、静寂に包まれた空間で、俺たちは向き合った。重雄の──【俺】の身体が、じわじわと近づいてくる。


「……なんか、ムチムチして卑猥な身体してやがんなぁ、俺の身体♥」


 そう言って、俺の胸板に手を這わせる重雄。それを受け入れる俺。ヤクザの肉体と、刑事の肉体。皮肉なことに、それぞれが互いの身体に惹かれている。唇が触れ合い、舌が絡む。


(これが【俺】とのキス。【俺】の唇に、【俺】の舌……、【俺】の唾液の味♥♥)


 まるで禁断の果実を味わっているかのような感覚。背徳的な感情が胸を締め付ける。キスをしているだけで、チンポが疼いてしょうがない。それを見た重雄は俺の前に膝をつき、いきなり真珠入りのチンポを咥え込んできた。


「はぁぁぁぁん……♥♥」


 ヌルリとした粘膜に包まれる快感。思わず情けない声を漏らしてしまう。


「じゅるる……、にいひゃん、ひもひいいか?」


 咥えたまま、重雄が尋ねてくる。重雄の唾液と俺のカウパー液が混ざり合い、室内に淫靡な音が響く。刑事の【俺】が、ヤクザの真珠チンポをしゃぶっている。その光景に、倒錯的な興奮を覚える。重雄が玉袋を揉みながら吸い上げてくる。気持ちよすぎて、膝が震える。


「やべっ……、もうイキそう……」


 そう言うと、重雄はさらに強く吸い上げてきた。喉奥まで突き入れられ、俺の視界がチカチカと明滅する。真珠の感触がチンポにまとわりついて離れない。もうダメだ、耐えられない──!


 だが射精しそうになった瞬間、重雄は口を離した。


「まだまだ。イクときは一緒にイこうな♥」


 意地悪く笑うと、今度は俺を押し倒してきた。仰向けにされ、股を広げさせられる。この体勢もすっかり慣れたものだ。これから犯されるのだと思うと、期待感に胸が高鳴る。【俺】に犯される。自分の身体に犯される。その事実は、これまで以上に俺を興奮させる。


「マスクが邪魔だな……。どうせお互いの正体は分かってるんだから、外してヤろうぜ」


「いいのか?」


「バレなきゃ問題ないだろ。それに……」


 そう言いながら重雄がマスクを剥ぎ取ると、そこには見慣れた顔があった。やはり紛れもなく【俺】の顔だ。でも、どこか違う。刑事っぽく見えないのは、気のせいじゃないはずだ。


「お互いの顔がはっきり見えてる方が、燃えると思わないか?」


 ニヤリと笑う【俺】の顔は、どこか色っぽくて、悪意のようなモノを感じた。俺もまた同じようにマスクを外し、素顔を晒す。鏡を見ているわけでもないのに、俺の姿をした誰かが目の前にいる。不思議な感覚だった。【俺】の身体が俺に覆いかぶさってくる。視界いっぱいに【俺】の顔が広がる。自分自身と見つめ合うなんておかしな話だ。見慣れた顔、見慣れた体、見慣れたチンポ。それを他人が使っている。29年間ずっと付き合ってきた肉体なのに、他人が使っているせいで自分のモノでないように感じてしまう。


 刑事らしい厳つい顔も、柔剣道で日々鍛え抜いてきた逞しい肉体も、そして男が相手だというのにギンギンに勃起している立派なチンポも全てが俺のモノなのに、その何もかもが他人のモノに見えてしまうのだ。それが余計にエロく感じてしまう。

 俺はゆっくりと目を閉じた。唇が触れ合う。舌先が触れ合い絡み合う。【俺】の唾液が流れ込んでくる。口内を蹂躙される快感にゾクゾクする。キスをしながら乳首を摘まれ、指先で弄ばれる。カウパーまみれの二本のイチモツが、ネチャネチャと音を立てて絡み合う。気持ちいい。こんな快楽を知ってしまったらもう戻れないかもしれない。


「ふぅ……。【自分】と身体を重ね合わせるのが、こんなに気持ちいいなんてな……♥ そろそろ、こっちも準備万端みたいじゃねえか♥ ヤクザのくせに、男とセックスしまくってゆるゆるになったマンコに、極太チンポぶっこんでやるからな♥♥」


「ああっ! 入ってくる……っ! すごっ、【俺】のチンポ、デカすぎるっ♥♥」


 ヤクザの肉体に、刑事のデカマラが吸い込まれていく。重雄の顔は、到底刑事らしくない快感に溺れた表情を浮かべている。きっと俺もまた、同じように蕩けた顔をしてしまっているだろう。


「あはぁんっ……! マジでコレ癖になりそうだわ。【俺】のケツマン、気持ちよすぎんだろ……っ! ああぁっ!」


 野郎同士のマッチョな肉体がぶつかり合う、破裂音にも似た音が室内に鳴り響く。俺のアナルに【俺】の肉棒が抜き差しされている。自分のチンポが出入りするさまを目の当たりにしている。まるで自分が自分でなくなってしまったみたいだ。


「ヤバすぎる……! すぐイっちまいそうだ……!」


 重雄の声が切羽詰まったものになる。俺もまた限界が近かった。アナルから込み上げてくる快感に耐えきれず、思わず腰が動いてしまう。


「お゛ぉっ! そこぉぉ……っ!!」


 俺の弱点を知り尽くしたかのように攻め立ててくる。自分のチンポに前立腺をゴリゴリと押しつぶされ、頭の中が真っ白になっていく。身体が弓なりにしなり、ビクビクと痙攣する。


「俺のチンポも、すげぇビクビク震えてやがる……。やべえよ、サイコー……っ! くっくっく……、なんてったって、これでこのガチムチボディーが、俺のモノになるんだもんなぁっ♥♥♥」


「なっ……、どういうことだっ?!! んっ……♥」


「お゛っ♥ この【マスカレード】っていうパーティーはな、俺たちみたいなVIP会員が、何も知らないガチムチ一般会員の肉体を選別するための場なんだよ。なんでお前が、これまで自分と入れ替わった相手とパーティーの時に出会わなかったと思う? それはなあ、入れ替わった者同士でセックスして【イク】と、入れ替わったまま元に戻らなくなるからだっ! だからっ、普段は入れ替わった者同士は出会わないように、別々の会場に行くことになってる……ってわけだ♥ おらっ! どうだ、刑事のデカマラはよっ♥」


「そ、そんな……っ、お゛っ!? くぅぅっ……♥」


 信じられない事実を告げられながらも、この身体は快感に打ち震えている。こんなにも気持ちいいものを知ってしまった以上、もう戻れない。


「あぁ♥ すっげ……♥ 我慢汁出ただけで、お前の記憶が頭ン中に蘇ってくるうぅ♥♥ 中学二年の時に、エロサイトで裸の女見ながらの初射精。高校三年の時に、一個下のマネージャーとの初セックス♥ たまらねえよ、お前のすべてが、脳みその中を駆け巡っていくっ……♥ 大学時代に出会った愛する嫁……、結婚してすぐに授かった愛しい娘……、二人との幸せな家庭♥♥ 今晩は、エロい嫁のおマンコに、男のケツにぶっ刺しまくった極太チンポをハメハメして、たっぷりと中出ししてあげようなぁ♥♥」


「やっ、やめてくれっ……! 家族にはっ、家族にだけは手を出さないでくれっ!!」


「あぁん? 何言ってんだ、お前。もうこの身体は俺のモノなんだぜ? それによぉ、この身体はお前のモノでもあるから、嫁のマンコに突っ込むのも【小野勇】のチンポだ。何も問題ねえよなぁ?! それに興奮すんだろ? ヤクザに身体を乗っ取られたうえに、嫁さん寝取られて、ガキまで孕まされちまうかもしれねえんだぞ♥」


「あぁ……」


 絶望的な状況だというのに、なぜか胸が高鳴ってしまう自分がいる。重雄の動きが激しくなる。俺の尻に、【俺】の玉袋が当たってパンパンと音を立てる。腸壁越しに前立腺が刺激されるたびに脳天まで突き抜けるような衝撃が走る。


「がははははっ!! イクッ! イクぞっ♥♥♥ ノンケ刑事の【小野勇】巡査部長ッ、ヤクザのケツの穴を捜索中にイクでありますっ♥♥♥」


「ああぁぁっ! 中にザーメン出されてっ……! 俺の身体が、乗っ取られちまうっ……♥ ケツマンコにっ、熱いのが注がれてくる……っ! 入ってくんじゃねぇぇッ、ヤクザの記憶がぁぁぁっ!」


 重雄の射精に合わせるように、俺のチンポからもびゅるびゅると大量の精液が放たれた。それと同時に、脳髄に流れてくる膨大な情報量。脳の血管内を、触手が蠢いているかのような不快な感覚。だが同時に、脳が焼き切れそうなほどの快楽に襲われる。【小野勇】の記憶と【山口重雄】の記憶が混ざり合っていく。


 脳が溶け合う感覚。自我が崩壊していく。理性が吹き飛ぶ。代わりに流れ込んでくるのは、重雄の思考回路だ。ヤクザとしての生き方、数多くの男を抱いてきた経験、闇社会での立ち回り方……。【山口重雄】の何もかもが、流れ込んでくる。重雄の生きてきた人生そのものが刻み込まれていく。暴力的なまでの性欲、破壊衝動、征服欲。俺のすべてが、重雄のすべてと置き換わっていく。


「ひひひっ♥ この感覚は、何度味わってもたまんねえなっ! これで完全に、【小野勇】巡査部長の肉体は、この俺のモノだ……! お前も気持ちよかったか? 俺の肉体になってみてよぉ? へへ……、すげえ顔してやがる。脳みそがグチャグチャになっちまってんのが、よぉーく分かるぜ【重雄】さん♥」


「……っ♥ ……っ♥」


 射精後の余韻に浸っているのか、ピクンッピクンッと小さく痙攣を繰り返すチンポを俺の中から抜いた重雄が、俺を見下ろしながらニヤリと笑っているのが見えた。


「んぉっ……♥ さて……っと。この身体を使って、警察組織を思う存分利用してやるぜ♥ まずは……っと。この身体の家族について、もっと詳しく知っておかないとな……。嫁の名前は〜……っと。あ~、もしもし、由夏(ゆか)か? 今から帰る。ようやく仕事も一段落ついたから、今晩は久しぶりに夫婦の営みをしような♥ もちろん、ゴム無しの生でだぞ。由夏の子宮にたっぷりと中出ししてやるからなぁ♥ 二人目の子供を期待して、待っててくれよ。愛してる、じゃあな♥ ……っと。これでよし。ひひっ、楽しみだなぁ。愛する旦那の身体を乗っ取ったヤクザに、チンポをぶち込まれる嫁さんの気分はどんなモンかなぁ♥ 喜ぶ顔が目に浮かぶぜっ! ぐへへへっ!」


 【俺】の声が、遠くから聞こえてくる。俺はただ、虚空をぼんやりと見つめることしかできなかった。俺は一体、誰なんだろう? 警察官? ヤクザ? もう分からない。考えられない。考える必要もない。だって──、俺はもう【小野勇】ではなくなったのだから。



***


「潜入捜査の任務、ご苦労だったな、【小野勇】巡査部長」


 革張りのソファに深く腰掛けた駒田署長が、笑みを浮かべながらそう告げた。署長室の空気は、昼間の警察署とは思えないほど、じめついている。


「それで、生まれ変わった肉体の具合はどうだ、【小野】くん?」


 その言葉に、俺は軽く肩を竦めて口角を上げた。


「最高ですよ、署長。【俺】にこの任務を命じてくれて、感謝しかありません。鏡を見るたびに、チンポが疼いちまうくらいですから♥」


 駒田署長も、満足げに顎髭を撫で回す。


「君のように職に忠実な男がいれば、我が署も安泰だな♥」


 署長は俺の隣に座ると、テーブルの下に忍ばせた手で、俺の硬くなった股間を撫でてきた。【小野勇】の肉体を乗っ取って、まだ日の浅い肉体。硬くなったチンポは、すでに何度も【妻】の由香のマンコに出し入れしまくったが、男のごつごつとした手で揉まれると、敏感に反応してしまう。

 十中八九、【駒田力哉】警察署長の中身もまた、俺と【小野勇】同様、他人と入れ替わっている。しかも、誠実で清廉潔白な警察官とは程遠い、邪悪で淫蕩なホモ野郎と、だ。きっと俺と同じく、マッチョで汗臭い肉体と、チンカス臭い雄マラが好物に違いない。


「駒田署長……♥ そろそろ、俺のデカマラで、署長のケツマンコをグチョグチョにしてもいいですか?」


「ぐひっ♥ ああ……、ずっと待ってたんだ。この肉体のアナル処女を、君みたいなガチムチ刑事に捧げる時をな……♥」


 駒田署長は立ち上がり、ズボンとパンツを一気に下ろした。すると、ブルンッという擬音がぴったりな勢いで、署長のチンポが飛び出した。


「妻のおマンコにチンポをズボズボはめる裏でぇ、極太ディルドで何度もこのキツキツアナルをほぐしてきたんだぁ♥ センズリこくだけでずっと我慢してきたから、勃起した雄のチンポが欲しくてよぉ……♥ 早くぅ……、私のこの無垢なケツ穴に、君のぶっといイチモツを強引に突っ込んでくれぇっ♥♥」


 署長の淫猥な誘いに、我慢の限界が訪れた。がっしりと鍛え抜かれた、警察官特有の下半身。筋肉で張り詰めた臀部の中心で、硬く窄まった肛門が今か今かと俺を誘っている。テーブルの上に用意されたローションをたっぷりと付けた指先で、そっとアナルに触れる。皺一本一本を伸ばすように、丹念に解していく。


「うぉっ♥ 太い男の指ぃ……♥ きもち……ぃいっ♥」


 駒田署長が涎を垂らしながら、恍惚とした表情を浮かべる。精悍な顔が台無しだ。そのまま俺は、中指と人差し指を奥へ奥へと押し進めていく。腸壁を擦り上げるように掻き回す。熱い肉の感触が伝わってくる。署長の息遣いがどんどん荒くなっていく。


「はぁ……っ♥ あぁ……っ♥ 小野巡査部長、はやく……っ、指じゃなくてチンポをくれぇ……っ♥」


 下腹部が疼くくらいに低音の、うっとりとするようなバリトンボイス。ねだるような甘い声が、室内に響く。俺は指を引き抜くと、ガチガチに硬くなった太マラの根元までを、窮屈な穴の中へと一気にぶち込んだ。


「お゛ほぉっ! きたぁ゛あんっ♥ ガチムチ刑事のッ……ぶっといおチンポぉぉっ♥♥」


 署長の声が喜色に染まる。意外にも皮を被っていた、駒田署長の淫水焼けした真っ黒な巨根から、白濁とした汁が勢いよく噴き出した。挿入しただけで、イってしまったらしい。俺は構わず腰を振り始める。肉がぶつかり合う音が響き渡る。腸内の締めつけがキツくなる。


「すごいぞっ♥ 気持ちいいっ♥ 気持ちよすぎるっ! 妻を抱くのと、男にケツを掘られるのとでは段違いだっ♥ もっと……っ! もっと激しくしてくれっ♥♥ ぐひぃっ♥ あ゛ぁ゛っ♥ そこだっ♥ 前立腺をもっと潰すように攻め立ててくれっ♥ お゛ぉ゛っ♥ ところてんでイキたくて、キンタマがせり上がってきてるぅっ♥ 濃厚な雄汁が欲しいって、【私】の肉体が言ってるぞぉぉっ♥」


 駒田署長が快楽に悶える。部下である俺の動きに合わせて、自ら腰を振っている。もはやこの警察署内は、魔の手に落ちたに等しい。署長は、今後も肉体の優れた警察官たちを、【マスカレード】に潜入させる予定に違いない。今の【駒田力哉】署長の中身が、どこの誰なのかは不明だが、少なくとも俺と彼の目的は一致していた。屈強で実直な雄どもの肉体を、チンポとケツの穴が好きな淫乱ホモ野郎たちと入れ替えてやるのだ。


「んぉっ! イック~~ッ!! 署長のキツキツのケツマンの中にぃぃっ、ドロドロザーメン射精しますよぉっ♥♥♥」


「ああっ、全部だしてくれっ! 私の腹の中を、君の子種で満たしてくれぇっ♥ お゛ぉ゛っ♥ ガチムチ刑事の精子が、腸内に入ってくるぅっ♥ 妻子がいるのに妊娠しちゃうぞぉっ♥♥ ぐへへっ! ぶっといデカマラでケツを掘られまくって……っ♥ オスホモセックスの虜になっちまううぅ……っ♥♥」


 駒田署長の前立腺を激しく攻め立てると、直腸にザーメンをたっぷりと注ぎ込んだ。同時に、駒田署長も勢いよく射精する。署長室が、二人の男の性臭でむせ返る。他人の肉体を乗っ取った者同士。こうして肉体を重ね合うことで、互いの欲望を満たしていく。俺たち警察官二人は、ノンケの振りをして今後も生きていくのだと想像すると、勃起が治まることはなかった。


「はぁ……♥ ん……♥ 君のおチンポ、まだ物欲しそうに勃起してるじゃないか♥ 弛んでいるぞ、小野巡査部長ッ! 今後も刑事として活躍するなら、そのキツキツのケツマンコを、もっとチンポが入る形にしとかなくてはな……♥ 私のデカチンポで鍛え直してやるぞっ♥」


 駒田署長が俺のデカ尻を掴み、肛門の中にズブリと太マラをぶち込んでくる。俺は歓喜の声を上げた。あっという間の攻守逆転。俺が署長のケツマンを掘りまくったように、署長もまた俺のケツを掘りまくる未来を思い浮かべ、思わずアヘ顔を晒してしまう。


「ひぎっ♥ しょちょぉ゛……っ♥ 俺のケツマンに署長のチンポが……っ♥ いぐぅっ!」


「ほらほら、さっきまでの威勢はどこに行ったんだ? 刑事なら刑事らしく、男らしい姿を見せてくれっ! ふんっ♥ オラッ♥ 気合入れろっ! お゛ぉ゛っ♥ 締まる締まるッ♥ たまらんっ! 私のデカマラ専用の性処理肉便器になれぇぇっ! おらっ!!」


 俺たちは署長室で獣のように交わり合った。それは、【小野勇】が勤務していた頃には、決して有り得なかっただろう淫猥な光景。ほんの少し前までは、市民たちのために悪党を捕まえようと奔走していた男たちが、男同士でケツを掘り合う変態プレイに興じている。しかし、今の俺たちにとっては、それが至福なのだ。他人の肉体を乗っ取り、自分の欲望の赴くままに性行為に及ぶことこそが──。


「ぐぉぉっ……♥ しょっちょぉぉん……っ♥ イギますぅ……っ! 俺のケツマンコに、署長のドロッドロの濃いザーメン、出してくださぁぁいっ♥」


「ヌハハッ♥ もちろんだともっ♥ ぶっといデカマラで、腸壁の奥の奥まで抉じ開けてやるっ♥♥ 尿道を通って、精子があがってくるぅぅっ♥ イクぞぉぉぉぉッ♥♥♥ イグイグイグッ!! 警察署長のキンタマの中身が空っぽになるまでっ、煮詰まった特濃精子を、君のケツの奥深くにドプドプ注ぎ込んでやるからなぁっ♥ 小野くぅぅぅ゛んっ♥♥」


(了)

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Comments

黒竜Leo

更新お疲れ様です! 任務と思わせて他人の体を使う事をハマっちゃって、最後に元の体と身分を全て奪われた刑事、ゾクゾクしますね! 署長もいい仕事をしていたんだ! 元署長も同じだと思いますが、ヤクザになった元刑事は今頃その体を存分に楽しんでいただろう!

ムチユキ

コメントありがとうございます! 刑事の肉体を乗っ取られて最初はショックかもしれませんが、今後は気兼ねなく【マスカレード】に参加して入れ替わりセックスし放題なので、喜んでいるでしょうね ✌️😉