仮面屋 (Pixiv Fanbox)
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「なあ、修治はうちのクラスの女子なら誰がタイプなんだよ?」
また、この手の質問か……。若い男たちのムッとするような汗の匂いがこもった部室で、チームメートから声をかけられた秋山修治(あきやま しゅうじ)は、心の中でため息を吐いた。童貞ばかりの男子の巣窟である野球部内では、たびたびこういったろくでもない質問が繰り返される。それも三年目となれば、受け答えも当然用意している。
「白崎……かな?」
「あ~、分かるわ。お前、おっぱいがデカい女子、好きそうだもんな」
修治からの答えを聞いて納得したチームメートは、すぐに身をひるがえし、他の部員たちとのくだらない会話を再開した。お前に、オレの何が分かるってんだ?! オレが本当に好きなのは──。毎回、心に秘めた思いが口から飛び出そうになるが、カッとなればすべてが終わってしまう。
居心地の悪い空気の中、そそくさと着替えてロッカーの扉を閉めると、修治は野球部の部室をあとにした。
***
「あっ、シュウちゃん!」
校門にさしかかったところで、修治は背後から声をかけられた。気弱そうな太めの男子。修治とはクラスは違うが、同じ高校三年生で、家が隣同士の幼馴染でもある内場智幸(うちば ともゆき)だ。美術部員で遅くまで残って絵を描いているとかで、帰るタイミングが重なることがよくある。だがそれだけではないのだろうなと、修治は薄々感じていた。
「トモも今帰りか?」
智幸に好意を持たれていることには、修治もだいぶ前から気付いていた。しかし、不快という感情は抱かなかった。自分と同じで、本当のことを明かせず苦しんでいる仲間なのだと思うと、むしろ親近感のようなものが湧いてくる。修治と智幸は互いの思いを隠しつつ、部活や学校生活の話をしながら帰路についた。途中でするのはありふれた日々の会話だが、異性関係の話題よりもよっぽど気兼ねなく話を続けられる。
そうして歩いていると、不意に二人の視界に怪しげな建物が入った。
「こんな建物、前からあったっけ……?」
「オレも初めて見た気がする。すっげー、うさんくさい建物だな……」
『仮面屋』と書かれた看板。店の外壁には、紫や黄緑といった奇抜な色のネオン管がごてごてと張り巡らされ、その内側には男性や女性、子供や老人に至るまでさまざまなリアルな仮面が掛けられている。あまりにも生々しく、生きた人間の顔の生皮を剥いだのではと疑ってしまうほどだった。
「早く行こうぜ……」
「うん……」
口ではそう言いながらも、なぜか彼らは吸い込まれるように店内へと足を踏み入れていた。中は薄暗いが掃除が行き届いていて、壁や棚には外壁と同様に、大小さまざまな仮面が掛かっている。そのどれもが、やはりあまりにもリアルだった。
奥から現れたのは、黒のタキシードを着た、しわだらけの老人。目は光が宿ってないかのように真っ黒で、修治たちを値踏みするように見据えている。
「……ここは『仮面屋』。お客様の【顔】を不思議な力で【仮面】に変えて買い取ったり、お客様の【顔】と他人の【顔】を入れ替えることも請け負っております。この店を見つけることができたということは、あなた方お二人は、この店を必要としているということになりますが──、いかがですかな?」
修治はゴクリと喉を鳴らした。隣には智幸がいるが、胸の奥に隠してきた想いが、口から零れ落ちる。
「オレ……、高校で野球やってるんすけど、監督みたいになりたいんですっ!」
言ってしまった。こんな見知らぬ爺さんなんかに……。いや、初めて会った相手だから言えたのかもしれない。
修治の通うN高校の野球部監督、元キャッチャーの北村隆信(きたむら たかのぶ)。身長178センチで体重76キロの修治よりも、一回りどころか二回り近くデカい、身長192センチで体重115キロの恵まれた肢体。親子ほど年の離れた修治が、尊敬と憧れと、どうしようもない欲望を抱く相手。
北村のような逞しい男になりたくて、【北村隆信】そのものになりたくて、修治はずっと苦しかった。全身は無理だとしても、体の一部だけでも北村と同じモノと交換できれば──。
そんな思いを知ってか知らずか、仮面屋の店主はゆっくりとうなずいた。
「お客様──秋山様の顔と、北村様の顔を取り替えればよろしいんですね?」
「あ、うっす……」
「内場様はどういたしますか?」
店主が智幸の方を振り向くと、智幸は口ごもりながらも、震える声で話し始めた。
「僕は……、シュウちゃんのことが好きなんです……。かっこよくて、大好きなシュウちゃんみたいになりたいってずっと思ってました!」
「なるほど、承知いたしました──」
老人はうっすらと笑みを浮かべると、手袋をはめた指先を智幸の髪の生え際に押し当て、下へと振り下ろし──、智幸の顔面の皮を勢いよく剥ぎ取った。
「うおぉぉぉっっ!! と、トモォォォ!!! こんのクソ爺ッ! 何してくれ……があぁっ!!」
間髪入れずに、老人の魔の手が修治にも襲い掛かる。修治も智幸と同様に顔面の皮を失い、意識を失った。
*
老人は、激しく罵倒を繰り返していた修治から剥がした顔の皮──【仮面】を、智幸のつるりとしたマネキンのような顔面に貼り付けた。すぐさま智幸のふっくらとした頭蓋骨が、修治の【仮面】に合わせて形を変えていく。脂肪で弛んだ二重顎は引き締まり、顔も小さくなると、智幸の顔に修治の顔のパーツが形作られていった。智幸の目、鼻、唇があった部分が、修治のモノへと置き換えられる。
「ふむ、うまくいったようですね」
満足げに頷くと、次は修治の顔面に智幸の【仮面】をくっ付ける。最初はあからさまにサイズの合っていなかったものの、智幸の【仮面】に合わせるようにして修治の顔の骨格が変形し、徐々に智幸の顔つきになっていった。
「うわわ……、あれ?」
「このクソ爺……、んっ?」
意識を取り戻した修治と智幸の二人は、すぐさま違和感に気付き、体を撫でまわして確認する。修治の目線はいつもより低くなり、腹は前に突き出ている。それとは対照的に、智幸の目には日々野球部で鍛え抜かれてきた【秋山修治】の筋肉質な肉体が映っていた。
「僕の体、もしかしてシュウちゃんの体になってる?」
「お、おい……?! これ、トモの体じゃねぇかっ?! どういうことだよ、クソ爺……!!」
「そんなに大声を出さなくても、耳に届いていますよ。私は『仮面屋』の店主。あなた方の願いを叶えてあげようとしているだけです。あとは、秋山様が御執心の北村様をここに連れてきてくだされば、お二人のお顔を交換させていただきます。ですが、その前にお支払いについてのご相談を……」
店主から浴びせられる鋭い視線。修治と智幸はゴクリと唾を飲み込んだ。二人の人間の【顔】を交換するという事象の対価がいくらなのか、見当もつかない。十万、百万、一千万……まさか一億などと言われれば、一生をかけても払いきれる自信がない。
「お二人には、互いに向き合っていただいて、オナニーをしていただきます。──それだけで良いのか? そう思われるでしょうが、世の中にはいろんな性癖を持った方々がいらっしゃいます。体を交換し合った二人が、互いのことを考えながら自慰に耽る。意外かと思われるかもしれませんが、そんな光景を求める方は、思いのほか多くいらっしゃるのです。ここで起きた出来事は、当店のお客様以外の外部に漏れることはありませんので、ご心配なさらず。それでは始めましょうか」
*
「トモ……♥」
「シュウちゃん……♥」
──なんだか、おかしい。
修治は目の前にいる幼馴染の【全身】を見つめながら、戸惑いを隠せなかった。オナニーをするだけでこの異様な状況を脱することができると言われても、小さいころからの友人を前にして射精などできるのか、甚だ疑問だった。なのに今、自分と智幸の二人はキスでもしそうなほどに密着し、お互いの尻に手を伸ばして揉み合っている。二本の硬くなったチンポが擦れ合って、気が狂うほどの気持ち良さだった。
智幸は幼馴染なのに、おまけにその顔から下の【体】はさっきまでの自分のモノなのに、脳みその中がぐちゃぐちゃになるくらい興奮している。修治はまるで全身が性感帯になってしまったようで、互いの顔を見つめ合うだけでも精液が出てしまいそうになるくらいだった。
「あ……♥ シュウちゃあん……♥」
「トモぉ……♥」
津波のように訪れる強烈な刺激に耐えられなくなった二人の理性は、とうとう限界を迎えた。ビュルルルーーーッ!! と盛大に真っ白なザーメンを吹き出してしまった。
「あっ……♥ ああっ♥ シュウちゃんの精子……♥ シュウちゃんが僕のおチンチンで射精して、僕がシュウちゃんのおチンチンで射精してる……♥♥ すごいぃ……♥」
「マジですげぇよ……♥ トモのチンポでぶっ放すのやっべぇ……♥♥」
二人は抱き合いながら果て、そのまま床に崩れ落ちた。二本の竿から飛び出した若い雄のザーメンが、混ざり合って泡立ちながら地面に広がっていく。
「僥倖、僥倖。ワンダフル! 撮れ高はバッチリでございます。対価は十分にお支払いいただけましたので、あとは秋山様が北村様と当店へお越し下されば、お二人のお顔を取り換えて差し上げます。今日のところはどうぞ、お気を付けてお帰り下さいませ」
「は……はいぃ……♥」
「あざまっす……♥」
修治と智幸は顔を合わせると、軽くキスを交わしてから『仮面屋』の外へ出て行った。
*
「ここが、秋山のお勧めの整体院か?」
「うっす、監督っ!」
真っ白で清潔感のある外壁に、凡庸な整体院の看板。昨日とはまるで違う『仮面屋』の外観に目を丸くした修治だったが、どうにかこうにか平静を装い、北村を店内に誘い出すことに成功した。
「うちの親父が腰痛持ちで、ここの整体院によく通ってるんすよ! 整体師が凄腕のマッサージ師とかで……」
教え子の言うことになんら疑うことのない北村は、言われるままに『仮面屋』の自動ドアをくぐって中に入ると、促されるまま大きな寝台に横になった。『仮面屋』の店主は、そんな無防備な彼の顎に指先を突き立て、上に向かって勢いよく彼の【顔】を引き剥がした。ブチチイッ! というある種、爽快な音とともに北村の顔面の皮は剥ぎ取られ、床に投げ捨てられる。顔面を失った尊敬する男の姿を見て、修治は体中に震えが走るほどの快感を覚えた。
もう我慢できない……! そう思うや否やズボンのチャックを下ろし、皮被りの短いチンポを掴んでしごき始める。
「監督♥ 北村監督ぅぅぅっ♥♥」
修治は夢中でチンポをしごきながら、のっぺらぼうのようになった北村の胴体に向かってビュルルルル!!と勢いよくザーメンをぶっかけた。
脳が痺れるような快感を伴うなか、店主である老人が修治の【顔】を剥ぎ取り、北村の顔面にぺたりと貼り付けた。シャープな北村の顔の骨格に、すぐさま馴染んでいくごつごつとした岩のような修治の【仮面】。同様に修治の──本来は【内場智幸】のぽっちゃりとした肉体の顔部分に、北村の【仮面】が融合していく。厳つく日焼けした顔に対して、だらしない白い胴体。顔と体のバランスがちぐはぐなせいで、見る者に奇妙な違和感を与えそうなものだが、『仮面屋』の【会員】ではない人間にはこの違和感を認知することはできない。
「……すげぇ、これが北村監督の【体】♥♥」
全身から加齢臭と香水の入り混じった雄のフェロモンが香り立ち、鼻腔を強く刺激する。今まで抱き続けてきた憧れの対象の体を得た悦びに包まれながら、修治は淫水焼けした竿を握り締めた。相撲取りのようにどっしりとした下半身の中心からは、血管の浮き上がった極太の幹がそそり立っていた。体を動かすたびに筋肉が主張してくるのを感じながら、ガチガチに勃起したその太くて長いチンポをシコシコとしごいてやる。
「んお゛お゛おおおぉぉ♥ でるっ、でるでるでるぅぅぅ♥ 北村監督のザーメン、ドピュッドピュッて出ちゃうぅぅっ♥♥♥」
大量のザーメンが金玉から迫り上がり、尿道を駆け上がってくる感触。次の瞬間には粘り気のある液体が噴出し、修治の──【北村隆信】の子種をたっぷり含んだ雄汁が宙を舞う。女性を妊娠させたこともある精液が自分のチンポから放たれたことに陶酔しきっていると、修治の肩を店主が叩いた。あとは自宅に帰ってから存分に楽しみなさいと言いたげな店主の視線に従い、修治は胸の奥で熱く滾る想いをどうにか抑え込んだ。
「ん……、いつの間にか眠っちまってたみたいだな。おっ! 腰の痛みが無くなったぞ!」
見る影もなくなったでっぷりとした腹を揺らしながら、腰を回す北村。【内場智幸】と身体を入れ替えたことで、肉体年齢が二十歳近く若返ったのだから、腰痛など起きるわけがない。喜ぶ北村の顔を見ながら、修治は笑いを噛み殺すのに必死だった。
*
「──やはり、またいらっしゃいましたね」
修治と智幸の二人は、『仮面屋』の店主に再び出迎えられていた。ずっと思い焦がれてきた人間の【体】を自分のモノにし、陶酔に浸る日々。征服欲と独占欲が満たされて天にも昇る心地であったが、しばらくすると物足りなさを感じるようになっていた。家族や同級生は、二人の異変になど全く気付かずにいつも通り接触してくるし、憧れていた肉体も見慣れてくれば最初からそれが自分自身のモノだったかのように思えてくる。そうなると、さらに別のモノを欲してしまうのも仕方がなかった。
「あの……、すんません。もうオレ、監督の体を手に入れただけじゃ我慢できなくなって……」
「ぼ、僕もシュウちゃんに──【秋山修治】そのものになりたいっていう欲が抑えきれなくなっちゃって……」
「ふむ……それで、私に何をして欲しいのでしょうか?」
「無理も承知で言うっすけど……、出来るんならオレたちの体を、完全に入れ替えてほしいっす!」
『仮面屋』の名の通り、交換できるのは【仮面】へと変えた【顔】のみに違いない。そう分かっていても、縋りたかった。オナニーをするたびに、理想の肉体を手で揉み解すたびに、どんどん欲望が膨れ上がってきて治まらない。もっともっと、夢のような体験を味わいたい──。
「可能ですよ」
「「えっ?!」」
ダメもとで言ってみた言葉が通じたことに驚いた修治と智幸は、思わず声を揃えて聞き返していた。二人とも信じられない様子で、目を白黒させている。
「『仮面屋』という名から、【顔】を【仮面】に変えて交換するしか能がないと思われがちですが、それ以外にも出来ることはございます。証明いたしますので、次回はぜひ北村様とご来店ください」
*
「もう腰痛は治ったんだが……、まあ無料で施術してもらえるってんなら頼むわ」
危機管理能力の乏しい北村は、修治によって再び『仮面屋』へと連れてこられ、寝台の上で大いびきをかき始めた。
「こちらのリップクリームは特別製でして、【顔】を【仮面】に変えたことがある方が唇に塗った後に口づけを交わしますと、口づけした相手の【顔】を複写することができます。こんなふうに……」
店主は修治と智幸の前に、三つの【仮面】を差し出した。真っ黒に焼けた高校球児である【秋山修治】の【仮面】、脂肪で覆われた丸い【内場智幸】の【仮面】、そして威圧的なオーラを放つ【北村隆信】の【仮面】。そんなモノを見せつけられた二人は、顔面を蒼白にして狼狽えずにいられなかった。自分そっくりの見た目をした【仮面】のコピーを、他人に悪用されれば人生が終了してしまう。
青ざめた二人の顔を目にした店主は、すぐさま彼らの内心を理解してカラカラと笑った。
「ご安心ください。複写は、あくまで複写に過ぎません。あなた方の顔そっくりに見えるこれらの【仮面】は、どなたが被ったとしても、『仮面屋』の【会員】でない方々には正しく認知することが出来ないのです。しかし、このリップクリームを唇に塗った二人が口づけを交わしますと、互いに【顔】を転写し合い、入れ替わってしまいます。【顔】というのは存在を証明するモノですので、交換してしまえば、【存在】すら入れ替わってしまいます。それでもご使用になられますか?」
修治と智幸の二人は目を合わせると、意を決して頷いた。まずは智幸の唇と北村の唇にリップクリームが塗られ、智幸が北村の頭を引き寄せてキスをする。数秒後、二人の顔がボコボコと盛り上がり、形が変わり始めた。北村の顔は太めの体にふさわしい、顎の弛んだ【内場智幸】の【顔】に、そして智幸の顔は褐色で精悍な【北村隆信】の【顔】へと。
「うおぉ……、トモの顔が北村監督の顔になっちまった……」
「【顔】も【体】も僕のモノじゃなくなって、なんか不思議な感じ……」
ぼそりと呟いた智幸の声に、修治の胸が激しく高鳴った。ほんの少し違うが、限りなく北村のモノに近い色っぽい声。体もかつての【秋山修治】のモノなせいで違和感はあるものの、鏡を見ながら【北村隆信】の【顔】で恍惚として勃起する智幸の姿に、修治もまた股間の昂ぶりが止まらない。
次は【秋山修治】の【顔】と、【北村隆信】の【顔】を入れ替える番だ。
(北村監督の【顔】が目の前に……。オレ、ずっと好きだった人とキスするんだ……♥)
実際には相手は幼馴染の智幸なのだが、その【顔】は熱烈に恋慕ってきた北村そのモノ。太い眉の先は垂れ下がり、男前の顔は蕩けたようになって頬も朱色に染まっている。普段の厳つい雰囲気とのギャップが堪らなくて、ゾクゾクする。修治は不思議なリップクリームを唇に塗ると、目の前の男とキスを交わした。
かさついた分厚い唇の感触。幼馴染とキスをしているのか、監督とキスをしているのか分からなくなってくる。あまりにも倒錯的な状況に、修治のチンポは痛いほど勃起して、ユニフォームパンツを突き上げていた。監督と【顔】を入れ替えて──自分自身が【北村隆信】になって、彼のすべてを手に入れたい。
「「んぶっ……♥ チュッ♥ ハァッ……♥♥」」
唇と唇を強く押し付ける。唾液をたっぷりと交換するうちに、二人の【顔】はぐにゃりと歪みながら、徐々に入れ替わっていった。智幸の【顔】は高校球児らしい芋っぽいそれに。そして修治の【顔】は、威圧感を与える中年男性のそれに。入れ替わった【顔】とそれぞれの【体】を見比べてみると、もはや違和感はなかった。おまけに【顔】と同時に【存在】までもが入れ替わった証明として、彼ら三人の身に着けていた衣服は、その肉体に相応しいモノへと変わっていた。
ポロシャツにジャージズボン姿の中年男性と、野球部のユニフォームを着た男子高校生。そこには頭の天辺から足の爪先までが野球部監督の【北村隆信】と、野球部員の【秋山修治】の姿があった。
「ほ、ホントにシュウちゃん……?」
「お前も、マジで……トモか?」
屈強な肉体を持った二人は、チンポを勃起させたまま見つめ合った。今から手に入れたばかりの肉体で、目の前の相手を抱くのか、それとも抱かれるのか──。どちらの未来を選んでも、きっととてつもなく気持ちがいいに違いない。
「【北村】監督……、オレ、監督のことがずっと好きでした……。監督のそのガチガチのノンケチンポで、オレのケツマンコ犯してほしいっす♥」
「おいおい、ふざけんなよ【秋山】。俺には妻もいるし、娘までいる異性愛者だぞ。……それに教師の俺が、生徒であるお前と淫らなことをするなんて許されるわけがないだろう……。だ〜が〜、今日だけは特別だぁ~~! 俺のノンケザーメン、お前に腹いっぱいくれてやるから、みんなには内緒にするんだぞぉっ♥♥♥」
顔を見合わせた二人は幼馴染らしく阿吽の呼吸で互いの役割を理解すると、修治は智幸のキツくしまった肛門の口元に、我慢汁でドロドロになったズル剥けの男根を押し付けた。あまりにも太い肉の塊が、ズブブ……と智幸の尻穴の中に消えていく。その瞬間、二人の口から同時に艶っぽい喘ぎ声が発せられた。
「うお゛っ♥ 監督のぶっとい雄チンポ、きたぁ~~♥♥」
「んはぁっ♥ 【秋山】のケツマンコ、キッツキツでヤバすぎるぞ……♥♥」
修治のゴツい両手が智幸の豊満な尻を鷲掴みにして、猛烈なピストン運動が始まる。互いの肌を汗が滑り、滴り落ちる。獣のような呻き声を上げながら、修治は智幸の──かつての自分のアナルを激しく攻め続ける。
「んぶぅ♥ う゛う゛ぅっ♥♥」
「んぐおぉっ……♥ 男のおマンコ、めちゃくちゃ締まるッ♥ ンギモッヂィィィ……♥♥」
修治の腰使いはどんどん速くなっていき、ついに射精の瞬間が訪れた。修治のチンポから大量のザーメンが噴き出し、智幸の腹の中に注ぎ込まれる。その衝撃で智幸もまた射精し、修治の顔面を汚す。
「あ゛はァ~♥ 【秋山】ぁ、愛してるぞ♥♥ あとは……、こいつも男好きに変えて、三人で幸せになろうな♥」
*
「目が覚めたか、【内場】?」
心地よい眠りから目覚めた北村は、聞き覚えのある声を耳にし、顔を上げて周囲を見渡した。寝台から起き上がり、目の前にいる男の顔を認識した北村は、驚きのあまり腰を抜かして尻餅をついた。そこにいたのは、自分の姿をした男──【北村隆信】だったからだ。しかもその股間では、屈強な肉体に相応しい太いイチモツが天に向かって屹立している。
通常なら『仮面屋』の【会員】ではなく、二人に騙されて利用されただけの北村が、この異様な入れ替わり劇に気付くことはないはずなのだが、修治や智幸と同じリップクリームを使用したことで、彼らとの感度がリンクしてしまったようだ。
「お、お前、誰なんだっ?! なんで、俺そっくりの見た目をしてやがる?!」
「な〜に言ってるんだ、【内場】ァ? 俺は【北村隆信】なんだから、この姿でいても何も変じゃないだろう? なあ、【秋山】♥」
「うっす、【北村】監督ぅ♥♥ いつ見ても、監督はエロいっす♥」
野球で鍛え上げたマッチョな肉体を密着させた二人の男が、北村の前で仲睦まじそうに舌を絡ませ合う。北村は混乱した。どういう理屈かは分からないが、自分の肉体を乗っ取られてしまった。だが、奪われたのは肉体だけ。記憶までは取られていないはずだ。
「お、俺の身体を乗っ取ったとしても、俺のことを何も知りもしないお前に、俺の振りなんてできるわけがないっ! 記憶や癖なんかまでは真似できんだろ?! きっと俺の家族は、お前が偽物だって気付くに決まってるッ!!」
半ばやけくそになりながら叫ぶ北村。その言葉を聞いた修治はニヤリと笑みを浮かべると、店主の言葉を待った。
「残念ですが、顔を入れ替えた方々は、精を解き放つと同時に記憶も共有してしまいます」
「……だってよ、悪いが頂くぞ、お前の記憶♥ どうせなら、三連結でザーメンぶっ放しながら入れ替わろうぜ♥♥」
修治が北村を羽交い絞めにしてそのケツ穴にチンポを挿し込み、修治の肛門に智幸がチンポを挿入する。三人の男が繋がり合い、汗と我慢汁を垂れ流しながら腰を振り始める。最初は抵抗していた北村も次第に快楽に支配されていき、自ら進んで腰を振っていた。もはや誰が誰を犯しているのか判別もできない。修治と智幸の腰の動きが加速していくにつれ、北村の顔も快楽に歪んでいく。
「ハァッ♥ ンォオ゛♥ イグゥ♥♥ 【北村】監督ぅぅぅッ♥♥」
「オオ゛♥♥ オラァ♥ ザーメン射精るぞぉ、【内場】ァッ♥♥ イッグゥウウ♥♥」
「アヒィイッ♥♥ 出すなァッ!! 出されたら俺もイっちまうぅう♥♥♥」
硬い異物をゴリゴリと前立腺に押しつけられる悦楽に身悶えし、北村は自らもチンポを勃起させて喘ぎ声をあげる。北村が愛する妻とのセックスなど霞んでしまうほどの快感に包まれるなか、まず先に限界が来たのは智幸だった。高校球児の溜まりに溜まった若い精が解放され、一気に迸る。直腸の奥深くまで入り込んだ亀頭から濃厚な粘液が吐き出され、腸壁に叩きつけられる感覚に修治が悲鳴をあげる。同時に修治の巨根からも夥しい量の白濁液が飛び出した。熱湯のような奔流が北村の体内を駆け巡り、彼の全身が燃えるように熱くなる。次の瞬間には北村の包茎ガキチンポからも、熟成されたオスミルクが大量に放出されていた。三人がほぼ同時に達し、結合した箇所からはドロドロの液体が溢れ出した。
「あっ……♥ アヘェェ♥♥ 北村監督の記憶がオレん中に入ってきて……、こんなのやっべぇ♥♥ 頭おかしくなるぅぅ……♥♥」
「僕の脳みその中も、シュウちゃんの記憶でいっぱいっ♥ これで今日から僕が、シュウちゃんになっちゃうんだぁ……♥♥」
「ん゛ッほぉ♥ イグゥ♥ なんなんだ、この記憶ぅ!! 覚えたくねぇのに……、んひぃっ♥♥ 気持ち良すぎて脳みそ溶けちまうぅぅ♥ 俺が【俺】じゃなくなりゅぅうぅ♥♥♥」
唯一入れ替わっていなかった三人の脳みそがぐにゃりと形を変え始め、シワを増やしながら他人の記憶を深く刻み込んでいく。北村の脳裏には【内場智幸】が抱いていた修治に対する恋心が、修治の脳裏には【北村隆信】の家庭を思う愛情が、智幸の脳裏には【秋山修治】の野球に対する情熱が流れ込む。そして三人は射精の余韻に浸りながら、新しい人間へと生まれ変わっていった。
***
「も、もう元の身体に戻してくれぇっ! 妻と娘には……、本物の【俺】が必要なはずだッ!」
「安心しろ、【内場】♥ お前の家族は、俺とお前の身体が入れ替わってることなんて、これっぽっちも気付いていやしない。お前の妻とは毎日、俺がセックスをして満足させてやってるし、可愛い可愛い娘も俺に向かって『パパ、大好き♥』って言って、キスをねだってくるくらいだ♥ 【北村隆信】の人生は俺がしっかりと引き継いでやるから、心配すんな。ほら、もっとちゃんとケツの穴締めろっ!!」
「いぎっ♥♥ そ、そんな……、嘘だッ……」
「それよりさあ、【トモ】? オレのこと好きなんだったら、もっとオレのチンポをしっかりしゃぶって気持ち良くさせてくれよ」
北村はかつての自分の男根をアナルに捻じ込まれながら、口には教え子のチンカス臭い肉棒を咥えさせられようとしていた。屈強な男たちに囲まれて陵辱される日々を送る北村の精神はすっかり磨耗し、元の人生を取り戻したいという願うことすら忘れそうになる状況に陥っていた。
「んぶっ! んむぅっ……♥」
チンポを口に入れるなんて、少し前までは到底考えられなかった行為だ。なのに今では舌を巧みに動かし、喉奥まで使って奉仕することに快感を覚えている。北村はいつの間にか、自分の意志で精液まみれのチンポを味わい尽くそうとしていた。このままではいけないと思っていても、口の中に広がる苦味と青臭さにクラクラしてしまう。ケツの穴は何度も掘られまくったせいで、ぶっとい竿の形を記憶してしまい、侵入を許すたびにキュッと締まりながらネットリとしたザーメンを搾り取ろうとする。
壁に掛かった大きな鏡には、北村を──ぽっちゃりとした高校生を犯しながら愉悦に浸る、かつての自分の浅ましい顔が映っていた。こんなホモ野郎に、妻と娘を任せるわけにはいかない──。そんな思いとは裏腹に、北村は四つん這いの姿勢になりながら、なおも智幸のペニスをフェラチオし続けている。そして絶妙な力加減でアナルを締めつける。北村のケツマンコの締まりが増したことを感じ取った修治は、快感に悶えながら口端から涎を垂らした。
「くうぅっ! 【内場】のケツの締め具合、サイコーだぞぉっ♥♥ 高校生のくせにっ、こんな淫乱なケツ穴使いしやがるなんて、けしからんっ♥♥♥」
褒められると、もっと気持ち良くしてやりたくなってしまう。北村の口淫のペースが速くなり、同時にアナルの締まりも増していく。その様子に、修治と智幸は笑みを深めていた。ここにいる三人はもはや、入れ替わりセックスの中毒者と言っても過言がないほどだ。北村の頭の中は、チンポを挿入されザーメンを注がれれば、まともな思考ができなくなるまでという段階まできている。
「くふふ♥ もうそろそろ、堕ちる頃合だな♥ 家族の記憶、お前のこれまでの人生の思い出……全部忘れ去って、生まれ変われ♥♥」
「もうすぐお前も、オレたちの仲間だ♥ 雄チンポが大好きなホモ野郎になって、気持ち良く生きていこうぜ♥♥」
修治と智幸が耳元で甘く囁くたびに、北村の頭がくらくらする。今まで当たり前のように持っていた倫理観がどんどん薄れていき、代わりに新しい性癖で上書きされていく。そしてついに、前立腺に巨大な男根が激しくぶつかった瞬間──。
「はひぃぃいいぃッ♥ ザーメンぶっかけてくだひゃいぃい♥♥ 僕のカラダぁ、全部おチンポミルクでドロッドロにしてぇえ♥♥」
北村の理性は崩壊してしまった。全身が悦びに打ち震え、暴れまわるチンポからは大量のザーメンを撒き散らす。精液が飛び散り、あたり一面を白く染め上げていく。愛する妻? 命よりも大事な娘? そんなやつらの顔など、もう朧気で──。
「【シュウ】ちゃんのおチンポから出る、しょっぱい我慢汁、美味しい♥ 【北村】先生のぶっといおチンポから出る、ドロドロ精子あったかいぃぃッ♥♥」
「イイ子だ、【内場】ァ♥ ほら、出すぞっ! 口とケツ両方で、俺たちの愛を受け止めろおぉぉっ♥♥」
「イグゥゥウウ♥♥ オレもっ、大好きな【トモ】の喉奥に、特濃ザーメン全部ぶちこんでやるぜぇッッ♥♥」
修治と智幸は、同時に絶頂を迎えた。射精された大量のザーメンが、北村の口内と直腸内を同時に満たしていく。溢れ出した精子が結合部から漏れ出てきて、シーツに大きな染みを作る。胃と腸がザーメンでパンパンになるほど注がれたところでようやく放出が終わり、北村は恍惚とした表情を浮かべていた。頭の片隅では【北村隆信】としての理性がうっすらと残っているものの、新たな主人格として確立されたばかりの【内場智幸】の自我が前面に押し出される。女のおマンコよりも、男のおチンポが好きな男子高校生。
瞳から光が消えた彼の頭の中は、完全に快楽に支配され、かつての愛する家族の記憶など一欠片も残ってはいなかった。肉体を強奪されたこともすっかり忘れ去り、屈強な益荒男たちのマッチョボディーと極太のイチモツだけが、彼の瞳に映るのだった。
(了)
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