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 今や中身の造りが違うだけで、人間と遜色の無いアンドロイド達の存在が当たり前になった時代。  街中では外見のみでは区別のつかない機械達が、人間と同じように街を歩き、笑顔を分け合い、そして人との触れ合いを楽しんでいた。  そんな中、その技術の進歩の派生先として、家電や家具としての機能を備えたアンドロイドも生み出されていた。  セクサロイドはもちろん、水冷機や調理器具、更には椅子や壁掛けなど、人の形をした家具は、無数の人々が持つ歪んだ欲望を一心に受け止める人間世界のクッションのような存在となっていた。  そしてここに一人、家電機能を備えたアンドロイドを所有する人物がいた。 「ただいま。あー疲れた」 「おかえりなさいませマスタぁ。喉は渇いてますか?」 「ああ。シェリル、ちょっと冷水ちょうだい」 「かしこまりましたぁ」  右手にコンビニの買い物袋をぶらさげたスーツ姿の男性が自宅の玄関を開けると、タオル一枚を首から下に巻き、程良く大きな乳房と乳首を浮き上がらせながら出迎える、青いセミロングの、長身で20代後半といった雰囲気を感じさせるシェリルと呼ばれた美人女性。  まるで従者のような台詞を口にしながら、シェリルは了承の返事と共にゆっくりとマスターと呼ぶ男性に唇を合わせる。  人間のそれと遜色の無い柔らかさの舌や口を入れると、その口内を伝ってマスターが望んでいた冷水が放出され始めた。  人間であれば本来、粘性のある唾液が流れてるはずだが、彼女にはそれがない。シェリルは美女の形を以って造られたウォーターサーバーだった。  キンキンに冷えた水を、公園にあるような上向きの水道のごとくマスターの口に送り、乾いた喉と口にありがたいそれをごくごくと飲み込んでいく。 「もういいよ、ありがとう」  とんと舌の先端同士をつつき、放出停止の合図を送る。  シェリルはそれに従って冷水を止め、赤らめた顔で色っぽく一歩後ずさりした。 「それと、これ温めておいて」  ビニール袋から、チルド惣菜の生姜焼きを取り出すマスター。シェリルはそれを、タオルをはだけさせながら受け取った。 「はぁい、もちろんです」  一言一言、色香を込めながら返答するシェリル。そっと艶めかしく腹部に手を当てると、その無駄な肉のついていない美しく整えられた表面がカバーのように取り外された。  その奥には、搭載された機能に回される貯水タンクが組み込まれており、満タンに補充された水が、マスターが飲んだ分減っている様子が見られた。  シェリルは手に取ったそれをタンク内に放り込み、人工の人肌を被せられたカバーを再び付け直した。  腹部で熱く温めている最中、シェリルはまるで愛おしいようにへその辺りを優しく擦っている。 「ふふ、待っていてくださいねマスタぁ」  へその奥から熱量を感じながら、シェリルはゆっくりとマスターの後ろをついていく。 「おかえりなさいマスター。衣服を脱いでください」  続いて部屋の奥から、女子大生を想起させるような20歳前後の清楚な顔立ちを持った、お姉さん的雰囲気の黒髪ロングの女性が全裸の姿を現した。  胸はシェリルよりも少々大きく、所謂ロケットおっぱいと形容されるような、一部の巨乳好きの本能を殴る形をしていた。 「ああ、今日も頼むよ詩織」 「もちろんです」  詩織という名のアンドロイドは、マスターの脱いだスーツをその手に取り、そのまま一枚一枚ダルそうにその下の服を脱ぎながら浴槽へ向かっていく姿を見届けた。  リビングへと向かうシェリルを横目に、詩織はスーツを広げて細かな部分まで付着したゴミや汚れを目視する。  高精細のカメラアイで裏表満遍なく確認すると、詩織は蛇のように長い舌を表に現す。そして、予めマークした汚れの箇所をゆっくりと正確に舐め取り始めた。  詩織は主に、所有者の身辺を清潔に保つ目的で製作された、自律型掃除機のアンドロイドである。  アナルに付属品のホースを接続することによって、基本の掃除機機能を発揮できるほか、女性を模した器官を使用した消臭スプレーや消毒用アルコール、床や溝などの細かな場所のゴミを絡め舐め取るアタッチメント式の長舌。  集めたゴミは下腹部のダストボックスに溜め込まれ、一定量に達すると、所有者の手を煩わせることなく、自発的にゴミ袋へと捨てるという、まさしく理想的な機能が集められていた。 「ん……あっ……あ……」  付着したゴミを取り終えた詩織は、仕上げに露出した乳房を右手で持ち上げ、ぶるっと震わせた後に消臭スプレーを吹き付けた。  僅かなタバコの臭いを検知し、そのスポットに正確に放出する。しゅっと道具らしいスプレー音が鳴る度に、詩織の擬似人格が感じているような反応を見せた。  ぽたぽたと乳首から垂れる無色透明の液を手で拭い、スーツの形を整えると、詩織はそれをハンガーにひっかける為に、シェリルと同様にリビングへと向かっていった。  その頃マスターは、浴室にて一体のアンドロイドと共に一日の気分を洗い流していた。  自分が快適に洗える様にと購入した風呂場用の椅子に座り、その背中に立つ、先の二体よりも大きな胸を持つ無表情の女性の施しを、力の抜けた心情で甘受する。 「全身の洗浄を行います」 「頼むよ雪音」    黒いミディアムヘアーが引き立つアジア系の、OLのような空気を纏わせるお姉さん系の容姿を備えた雪音と呼ばれる女性。  まるで人間らしい柔らかな受け答えをする気配のない彼女は、ボディウォッシュを主な用途として造られたアンドロイドである。  その明らかに性欲を煽り立てるように設定された容姿と体型は、セクサロイドと言われても弱い反論しかできなくなってしまう程ではあるが、彼女は紛れもなくボディウォッシュのために製造されている。 「まずはどこから洗浄を行いますか?」 「身体の方から頼む。その後頭と顔で」 「かしこまりました」  淡々とした受け答えを続け、膝立ちの姿勢で何の感情もなく返答する雪音。  そのやり取りの最中も、マスターの背中にはその大きく柔らかな乳房が当たっており、思わず勃起してしまっていた。  命令を受諾し、雪音はまず左胸の先端の下に手を置き、人差し指で軽く乳首を穿る。  すると、たわむ乳房のその先、ピンク色の突起から、ホワイトパールの色をした粘液がどくどくと溢れてきた。  雪音はそれを手のひらで受け止め、しっかりと泡立ててマスターの身体をごしごしと洗い始めた。  雪音の両手は、アタッチメント方式によって人間のそれと同様の物から、繊維質のボディウォッシュタオルのように造られた物まで、用途によって自由に付け替えることが可能である。  現在は後者を装着しているため、ソープがよく泡立ち、磨かれているマスターもその擦れる快感に身を任せている。  人肌を超える柔らかな心地よさと、程良く刺激されている快感が合わさり、マスターの疲れはどんどん解きほぐされていった。 「泡を洗い流します」  股間も含めて全身を弄るように洗った雪音は、シャワーを手に取り全身の泡を洗い流す。  一点の漏れも無いように正確な確認を終えると、今度は右胸からシャンプーを放出し、同様に泡立てる。  そして、柔らかく大きな両胸でマスターの頭を固定し、まるでプロの美容師のような手付きで頭髪を洗い始めた。  人肌を再現した温かさと人間以上の気持ちよさを兼ね備えた乳の柔らかさが頭部に注ぎ込まれ、天国にいるような快感をマスターに与える。 「洗顔を行います」  髪に絡みついた泡をシャワーで優しく、一泡残らずきっちりと洗い落とす。  その次、マスターの正面へと回り込み、ぐいっと胸の果実が潰れるほどに近づいた。  何度されても、思わず勃ってしまう股間の一物が、とんとんと雪音の身体を突く。しかし、それに対してちらっと視線を下ろすのみで、大きな反応を示す様子はなかった。  そして、右手を口の前まで持っていき、白色の唾液を手の器の中へと流し込む。  溜まったそれを両手に当て、擦り合わせて泡立てると、そっとマスターの頬に優しく当ててから、マッサージの如く回し撫でる。 「痒いところはありませんか?」 「いや、大丈……ぺっ、大丈夫」  美容師のテンプレのような質問に答えると、思わずマスターの口に滑り落ちた泡が入り込んでしまった。  反射的に唾を含めて吐き出したそれは雪音の太股に命中するが、一切気に留める様子はない。  一通り洗顔を終えたと判断すると、両手にお湯を潜らせて優しく洗い流していった。 「今日もありがとう、雪音」 「ありがとうございます、マスター。髭剃りは行いますか?」  一通りのボディケアを終えて、湯船に浸かろうとするマスターにタスクの確認を行う雪音。  その質問の間、雪音の指は股間の女性器ユニットへと当てられていた。 「いや、それは朝にやる」 「かしこまりました」  マスターの返答を聞いた雪音は、指をそっと股から離し、正座の姿勢で待機状態に入った。  指が離れた瞬間、髭剃りとしても有用な機能を持つローションが糸を引く。 「以上でよろしいでしょうか?」 「ああ、あとはゆっくり浸かるだけ」 「かしこまりました。それでは、快適な入浴をお楽しみください」  行程の最終確認を行った雪音は、そのままじっとマスターを見つめた状態のまま動かなくなった。  機能を停止したわけではなく、視線以外を動かす必要がないからである。  温かい風呂を満喫するマスターは、ぴくりとも動かない雪音の色気に溢れた素晴らしいボディを視覚的に楽しみながら、その日一日の疲れをひたすらに溶かしていった。 * * *  入浴を心行くまで楽しんだマスターは、部屋着へと着替えてリビングへと向かう。  ソファーの側に設置されたテーブルの上には、まっさらな白い皿とあらかじめ炊かれていた白米をよそった茶碗、空っぽのガラスのコップが置かれていた。  そのすぐ側には、シェリルと詩織、そして他の三体とも違う新たなアンドロイドが、全裸で立った状態のまま待機していた。 「おかえりマスタ〜 もう、待ってましたよ〜?」  容姿は、十代後半ほどの童顔という単語が近いであろう、可愛らしさも兼ね備えた癒やし系の顔立ち。他三体ほどは大きくないが、それでも形程良く手に包みたくなるような乳房。おっとりとしたゆるやかな口調が、疲れた心に染み渡る。 「待たせてすまないアンジェ。ちょっと寝る前で、こっちの充電を頼む」 「はぁい、かしこまりましたぁ」  マスターが携帯端末をアンジェと呼ばれるアンドロイドに手渡すと、その機械は嬉しそうに手に取り、首筋から一本のコードを伸ばし始めた。  そして、充電用の端子に接続すると、端末の画面内に表示されているバッテリー残量アイコンの表示が充電中の物へと変化した。  アンジェは所謂、人の形をした持ち運びバッテリーのアンドロイドである。  大容量のエネルギーを溜め込んでおける上に、擬似人格を搭載した自律稼働を行える為にお出かけの友としての有用性も高い。  更には頭部を外すことが可能であり、その頭はWi−Fiスポットへと早変わりする。携帯一つでなんでも出来る時代の、まさしく恋人的存在でもあった。 「温め終わりましたわマスタぁ」  二体の雰囲気の中にシェリルが割って入り、腹部のパネルを開放する。  その中へ平然と手を入れると、ほかほかに湯気を浮かせた、帰宅直後に手渡した生姜焼きのチルド袋が姿を表した。 「ありがとう」  待ってましたとそれを手に取り、空いた皿に今晩のおかずを流し込む。周囲に立ち込める生姜醤油の匂いがたまらない。 「シェリル、お茶」 「はい、どうぞ」  名前を呼び、コップを突き出して喉が求める飲料を口にするマスター。  シェリルは命令通りに近づき、右乳の先端をボトルの口を当てるようにその器に近づける。  びくっと小さく二回身体を震わせ、ぽたぽたと透いた緑色の茶がこぼれる。そして、どくどくと肉感に満ちた無機物の乳首からそれは注がれていった。 「あんっ……あっ……ああっ……」  コップの中が満たされると、シェリルは排出を止めて乳房を持ち上げ、床へとこぼれないようにぺろっと残った水滴を舐め取る。 「いただきます」  準備の整ったテーブルで、マスターは全裸の家電三体をよそに手を合わせて食事を開始した。  放置された女性型の家電達は、文句も言わずその光景を一糸まとわぬ姿で見守り続ける。  人間と共生するアンドロイドと違い、家具や家電扱いである分気兼ねなく自分に合った生活を築くことができる。しかも自分の理想を詰めた容姿や性格も自由にカスタマイズ可能とあっては利用しない手はない。  そのような背景もあって、欲望を肉付けされた機械人形達は、一定の需要を生み出していた。  その日の夜、充電器型のアンジェはマスターと一緒のベッドに入り、柔らかく触り心地の良いその身体を存分に提供していた。  それ以外の三体は、あらかじめ指定された液体の補充と各部の簡易チェック後、立ったままの姿勢で光を失った目を見開き、充電しながらのスリープモードへと入っていた。  夜に入ってさえも下着一枚すら着させられず、並んで停止する姿はまさしくモノ扱いと呼べるものがある。 「あんっ……あっ……あっ……きもちいいですか、マスター?」 「はぁはぁ……ああ、最高だよ……」  女性の身体を模して造られているため、四体それぞれにはしっかりと女性器ユニットが作成されており、性交も行うことはできる。  しかしその中で、はっきりとセクサロイド機能を実装されているのは充電器型のアンジェのみであった。  他三体もセックス自体は可能であるが、アンジェは他とは違い、人工愛液専用の補充タンクも人工子宮ユニットも実装されている。当然それは子を成すためではなく、ただ快楽の為の道具として扱われるものである、  他電子機器に電力を提供する為の道具。しかしそれだけでは持て余す。そう考えられた結果、発熱を活かして機体の温度を自由に調整し、尚かつ膣の温度も絶妙に保てるようにすれば、専用の機体には劣るもののセクサロイドとしては充分に機能するのではと考えられた。  その結果、想定した機能に並び、人肌の温かさを備えた人型の抱き枕のような使い方等も偶発的に生み出されるなどを経て、現在の仕様に至る。 「マスタぁ……大好き……私、マスターを愛していますぅ……あんっ……あんっ……」  作り物の陰部をいやらしく濡らし、マスターへ設定された愛を口にしながら腰を振る。  首筋にコンセントから伸びたケーブルを繋いだまま、アンジェはその夜、マスターが電源を切るその時まで一心不乱に乱れ続けた。 * * * 「それじゃ、行ってくるよ」 「いってらっしゃいませマスター」  革靴を履き、玄関のドアノブに手をかけるマスター。その背中を、全裸で一例して見送る四体の家電達。  下腹部の前に両手を置き、感情の起伏が無い雪音以外の三体は笑顔を作り、マスターの気分を毎日高揚させる。  家を出て、ドアが閉じた後もその表情は変わることは無い。GPSを通じて自宅の半径100m外に出たことを確認するまで、四体は誰もいないドアにその表情と裸体を晒し続けた。  そして、それを確認したと同時に、一時停止が解かれたように四体の家電は同時に動き始めた。 「マスターが行ったわねぇ」 「早く戻ってこないかなぁ……」 「今出たばっかりなんだから、それはないでしょ」 「浴室の清掃を行います」  それぞれに設定された個性が表れるような、ちょっとした雑談を交わす四体。  シェリルは名残惜しそうに、指を股間へ当てながらマスターが去ったドアを見つめ、アンジェはたった今外出したばかりのマスターを寂しそうに求め、詩織はやや落ち着いた常識的な見解を口にし、雪音は無表情のまま、機械的に自分が行うべき業務へと向かっていった。 「相変わらず、擬似人格の無い娘は楽そうでいいわよねぇ」  機械人形らしい皮肉を、背を向けた雪音に言い放つが、一瞬振り向いただけで相手にする素振りもなくそのまま浴室へ入っていった。 「そういうこと言わないの」 「だってぇ……なんであんなえっちな身体してるのに人格入ってないのよぉ……宝の持ち腐れじゃない……」  シェリル自身も、人間の欲望を具現化したような体型をしているが、その純度は雪音の体型には敵わない。  まるでソープ嬢のような使用法にも関わらず、淡々とした受け答えや変わらない表情で、その身体を活かしてマスターとセックスしたいという意思も無い。それがシェリルは歯痒くて仕方なかった。 「仕方ないでしょ? それがマスターの望んだことなんだから」 「だってぇ! あたしこの身体でこの性格なのに、人工愛液を補充するスペースも無いのよぉ!? 毎回ローション塗りたくったり、アンジェから借りたり……でも、いつも一番にあたしを求めてくれるのはとっても嬉しいわね」  セクサロイド機能におあつらえ向きの擬似人格なのに、その機能が最低限しか組み込まれていない。  ウォーターサーバーとしての機能を使用する度に快楽信号が全身を駆け巡るが、自慰行為も殆ど変わらない。  そんな愚痴をこぼしつつも、マスターに求められているときがとても幸せ。キスをして冷水を提供したり、乳房を通して飲料を提供している時が、シェリルにとっては主人からの肉欲を満たしてくれる数少ない時間だった。 「はいはい。じゃあ私も掃除に入りますからね」  さらっとその愚痴を受け流し、詩織はそそくさと掃除機という自身の稼働目的を満たすためにリビングへと歩いていった。  マスターがいない間、その自宅では四体がそれぞれに家事や清掃を行う。しかし、そのような機能を目的として作られていないシェリルとアンジェはその比重は少なく、二体が働いている最中に自由に動いているということも少なくなかった。  そしてこの日も、アンジェはマスターの寝室へと向かい、人工体液の充電や点検をしながら、改めて充電を始めようとしていた。 「じゃ、私も充電しますね〜」  ふわふわとした雰囲気を振りまいてその場を去ろうとしたその時、シェリルがその柔らかく温かい手を掴む。 「あら、何するのシェリル?」 「あたしもついていく」 「?? どうして? タンクの補充はいいの〜?」 「その後でやる」 「そうなの〜じゃあそうしようかしら〜」  その設定された擬似人格の影響もあってか、深くは追求せず流されるままにシェリルの手を受け入れるアンジェ。  だんだん強くなる握る手の強さを気にすることもなく、二体はそのまま寝室へと足を運んだ。  マスターの自室にて、ベッドの上には上がらず床の上に仰向けにならアンジェ。  下腹部を擦り、しわを寄せる人工皮膚のついたカバーを外して内部機構をさらけ出した。  人間らしい肌の下には、生物的な様子は全く見られない機械的な構造の数々、そしてその中に一つ、場違いにも思える子宮の形と色を模したパーツが組み込まれていた。  銀や黒などの非生的な色が彩られる中で目立つ、肉肉しい子宮ユニット。そのようなパーツにも、随所に埋め込まれた金属の部品が垣間見える。 「えっと、まずは愛液を補充して、それから……あっ」  中身を晒した状態から、この日行うタスクを整理するアンジェ。  日程から要する時間などを細かく処理している最中、曝け出していた子宮ユニットがシェリルによって掴まれ、体外で引きずり出された。 「なにするのシェリル?」 「あなただってそうよアンジェ。ただの充電器なのに、なんで子宮ユニットが装着されてるのよぉ……」  手の中に収まった偽物の肉袋からは、体内へと伸びるコードが何本も見られる。その姿が、所詮人ではなく機械であるという様相を強調する。  シェリルはそれをぐにぐにと握り、柔らかな感触を確かめる。 「ああんっ! あっあっ……あああっ……シェリルぅ…………」  身体の外へ持ってこられたそれを揉む度に、アンジェは痛がる様子も泣き叫ぶ様子もなく小さく嬌声を上げて身体を捩らせる。  人間らしい器官から発せられる人とは程遠い悦楽の姿。しかしそんな姿がシェリルには羨ましく思えた。 「あはっ……あっ……ん……かえ……して……ぇ……」 「嫌よ。もっと、もっと弄り倒してやるんだから」  顔を赤らめて手を伸ばし、部品の返却を求めるアンジェ。   嫉妬心からの行動だったにも関わらず、シェリルにはその姿がとてもかわいらしく、そして強く擬似人格を刺激した。  この充電器が乱れる様をもっと見てみたくなったシェリルは、人工の膣から取り外され姿を表した子宮口を咥え、ぺろぺろと舌を差し込んでいく。  同時に体内で湯気が出るほどに温められた水を流し込み、再びゴム毬のように握った。 「あああああっ!! 熱いのお……熱いのが入ってきてるぅぅぅ……」  人体であれば悲鳴を叫んでしまうであろう熱さにも、ただ液体を流し込まれただけであるかのように、プログラムされた情的な隠語で喘ぐアンジェ。  女性器ユニットの陰口をひくつかせ愛液が表面を伝い、子宮は内部に溜まった熱湯の刺激に踊らされ、手の中でぶるぶると跳ね回っていた。  まだ空洞が残っているためか、ピンク色の肉壁の下からちゃぷちゃふと空気を含んだ水音が聞こえる。 「へえぇ、アンジェって、いっつもマスターとこんな風によがってるのぉ?」 「は……はひ……マスター……いつも、私に優しく突いてくれて……嬉しいです……」 「そうなの。あたしもして頂いたことあるから知ってるけど、マスターとっても優しいわよねぇ……もっと、もっとあなたみたいに肉っぽく乱れたいわ……」  とろんとした目つきで、手元で震える肉袋の贋作を見つめて優しくキスをする。  唇が触れた瞬間にそれはぶるっと震え、それから少し遅れて所有者の身体を揺らす。  もっと機械的なそれではなく、どこか人間のような、肉感的なやり取りがしたいと、シェリルは手元のそれを自身の女性器ユニットの中へと押し込んでいった、  ただ似せて造られたアクセサリも同然の卵巣もまとめて咥え込み、ぐにぐにと淫靡に動く肉壁が、同じ偽肉を求めてしっかりと捕まえた。 「あああがっ!? いひいいっ!? き、きもちいいです……と、溶けちゃいそう……」  膣壁の中で暴れるそれを押さえつけ、互いの肉が擦れる度にまるでその行為を行っているかのような刺激がシェリルとアンジェを襲う。  アンジェの女性器ユニットからは、とろとろと人工愛液が。シェリルのそれからは、さらさらとしたぬるま湯が流れ出た。 「んん……ああっ……あああっ! あんっ……また……ぁ……補充……しないと……ぉ……」  残存量の低下を検知し、システムメッセージを擬似人格に乗せて発するアンジェ。  それでも二体の間で交わされる快楽は止まることがない。  膣内からほとばしる快楽でどこか動きがぎこちなくなり始めたシェリルは、両手を胸に置き、激しく形が変わる程に揉みしだいた。 「あああアあぁぁあ!! きもちいい……きもちいいの……もっと……ぉ……もっとしてぇ…………シェリルぅ……」  手の形を沈み込ませる程に柔らかなその乳房。感度も非常に良いようで、人間であれば確実に酷く痛がるような扱いをしても一切悲鳴を上げることなく、ただ快楽に身を任せていた。   「あたしも……あたしにもしてぇ……アンジェ……欲しいの……あたしにも……」  羨望に身を任せて攻め側に回っていたシェリルにも、目の前のアンジェのような幸福感が欲しいと、擬似人格が思考し始める。  その導き出された感情と共に、だらしなく口から水をだらしながら、小さく大きな乳房を前に突き出した。 「ぁぁあ……は、い……シェリルぅ……」  直接的な快楽信号の処理にやって行動の反映が遅れている様子で、アンジェはすっかり力の抜けた赤ら顔で、シェリルの大きな乳房へと手を伸ばした。  自分がされているように強く楽しむように揉みしだく。その感触はとても心地よく、アンジェに負けず劣らずの柔らかさで大きく形を変える。 「あはああぁあっ!! もっとぉ……もっと揉んでぇ……壊れるくらいにぃ……ああんっ……!」  乳首の中を指で穿られ、奥に潜むノズルに時折こつんとぶつかりながら強く揉まれていく乳房。  身体の奥から押し寄せる快楽信号に、左乳から温水を、右乳から残存した緑茶を噴き出し、アンジェもろともにマスターの部屋の床をびちゃびちゃに濡らした。 「あんっ! あっあっあっ…………ああああっ!! いくっ、イク! きもちいいのおおおおお!!」 「ああっ! あっ! ああんっ……きもちい……ん……ぅ…………ひゃああっ!? あっ、あっあっ、あああああっ!!!」  何度も強く互いの胸を弄り倒し、子宮ユニットを肉壷の中で蠢かせる。その度に快感から押し寄せるぬるま湯が直接当たり、さらなる刺激を与える。  シェリルの胸の中で、無機質にこんこんと付け爪とノズルがぶつかる音と、ぴちゃぴちゃと水が遊ぶ音が小さく鳴る。  二体の見た目だけなら人間的ながらもそれとはかけ離れた倒錯的な交わりは、快楽信号のピークを迎え、なんとも人間らしい絶頂の声を同時に上げた。 「あっ…………は…………きもち……いい……わ……」 「はぁ……はぁ……ます……たー……とは……違うけど……きもちいい…………」  二体の機械人形は絶頂の果てに崩れ落ち、濁った色の水溜りに火照った人工皮膚を浸した。  温度の上昇した機体を冷やすため、そしてそれらしい余韻を生み出すために、人間のように荒い息を行う。 「はぁ……はぁ……アンジェ……あなた……いい……指使い……じゃない……」 「あっ………あっ……あは…………はぁ……シェリル……とっても……きもちよかった…………」  全身を濡らし、子宮をシェリルの割れ目の中に入れたまま、倒錯的なレズセックス後の会話を交わす二体。  このままこの肉感的な交流は終わるかと思われたその時、マスターの部屋の扉が勢い良く開けられた。 「なにをやっているんですかあなた達は」  そこに現れたのは、掃除機型である詩織だった、  アナルに掃除用のホースを接続し、家中のゴミを吸い上げていた最中、激しい喘ぎ声と交わり愛の音を聞きつけてドアの前で待機。  そして、終了のタイミングを見計らって乗り込んだのだった。  現場を見られた二体は、まるで世界が止まったかのように驚いていた。 「あ……これは……その…………」 「詩織……えっと……」 「アンジェがここにいるのはわかります。充電やマスターの為の整備をしないといけませんから。でも、どうしてシェリルがここに?」 「それは…………だってぇ……アンジェばっかり人間みたいなセックスがちゃんとできて羨ましかったんだものぉ……」  この状況で何を言っても仕方ないと開き直り、自身の感情を言語化して細かく説明した。 「それで、こんなに水浸しにして……ともかく、やるべき点検や補充を放ったらかしてこんなことしてたんだから、罰は受けてもらいますからね」 「何よぉ……そんなの、ちょっとは見逃して…………かしこまりました」  だだをこねるようなやんわりとした拒否をぶつけようとした次の瞬間、色っぽい所作を見せていたシェリルの表情は一瞬にして消え失せ、光の消えた瞳で詩織のことを見つめた。 「さ、立ち上がって」 「はい」  先程の余韻も上がった息も、まるで無かったかのようにスッと立ち上がるシェリル。  まだ咥えたままの子宮ユニットから伸びたコードがピンと引っ張られる。 「あああぁあぁぁあああっ!!!??」 「こんなことしてたのね……取り外してシェリル」 「かしこまりました」  命令を受けたシェリルは、手も動かさず膣肉を器用に動かし、奥まで飲み込まれた子宮ユニットを排出した。  吐き出された肉袋は、びくんびくんと生物のように震えながら、雨でも浴びたような濡れた状態で床に落とされた。 「じゃ、これから罰として私の掃除を手伝うこと。その機能でちゃんとマスターのために部屋中を綺麗にしなさい。いいわね?」 「かしこまりました。詩織様の命令に従い、マスターのために清掃を行います」  感情を失った機械人形と化したシェリルは、詩織よりも先にマスターの部屋を後にした。  それに続いて詩織も出ようとする直前、振り向いて倒れたアンジェの方を見つめる。 「アンジェも、ちゃんと床を綺麗にしてよね」 「あっ…………あっ……は……い…………」  シェリルに対してよりも優しい声色できっちりと後始末をするように釘を差し、そのまま部屋を後にした、  快楽信号の処理を終えるその時まで、マスターの部屋には、内部機構をさらけ出し、水溜りの上で震える女性型アンドロイドというまるでサイバーパンクのような光景が広がっていた。 * * *  その日の夜、詩織と雪音はいつものように充電の体勢に入り、目を開けたままスリープモードへと入り、アンジェは満タンにした人工愛液とバッテリーをもって、マスターのベッドの中で待機していた。  そしてそこに、いつもとは違う設備が設置されていた。 「シェリル、ビールお願い」 「かしこまりましたマスタぁ」  マスターの部屋に悩ましい表情で待機していたのは、シェリルだった。  帰宅後に手渡された瓶ビールととあるつまみを体内に補充したシェリルは、就寝前に自室で待機していてほしいと追加の命令を受け、その通りに待ち受けていた。  その喜びは、表情にも現れている、  右胸からキンキンに冷やされたビールをコップの中へ注ぎ込み、ちょうどいいと判断したところで注入を止める。  ビールが胸を通る度に、炭酸とアルコールの刺激が内側の肉壁を官能的に刺激する。 「やっぱりこれだなあ。シェリル、頼んでおいたアレ出して」 「はぁい、もちろんです…………ん……んあっ………ああっ!」  追加の指示を受け付けたシェリルは、その場で膝を横に曲げ、女性器を強調する蹲踞の姿勢を取り、その下に左手を置きつつ二本の指で陰部を拡げてみせる。  直後に、何かに感じているような淫らな声をあげ始める。すると、拡げた性器の奥から、湯気と倶に薄茶色に染まった味付け卵が顔を出し始めた。  シェリルの身体には、温めた物を腹部を開けずとも直接女性器から取り出すことの出来る機能がある。それを利用し、マスターは帰宅前に購入した味付け卵を温めてもらい、産卵のような形で取り出してもらったのだった。  シェリル含めた四体の家電アンドロイドの身体は常に清潔に保たれているため、生物のような細菌やウィルスを気にする必要はない。人間の形をした機械だからこそできる芸当であった。 「はい、どうぞマスタぁ」  膣壁の優しい動作で運ばれた味付け卵は、湯気を纏っておいしそうな雰囲気を漂わせている。  手渡されたそれを口に含み、冷えたビールで流し込み、大変満足そうな声を出した。 「なあシェリル、今日は一緒にしようか?」 「えっ!? い、いいの!?」  驚きの声を出すシェリル。ここしばらく、マスターとの直接的な行為はご無沙汰だったために、この台詞は予想外だった。 「もちろん、断る理由はないわぁ……だって、マスターがこの疼きを満たしてくれるんですもの……」  元来設定された淫乱な性格が、その誘いを迷いなく了承する。  そしてその夜、アンジェから借りた人工愛液を女性器へ塗りたくり、待ち望んだ肉欲の一夜をその身にたくさん、擬似人格が満たされるまで味わった。

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