私が見つけた可愛い元人間達 1話先行公開版 (Pixiv Fanbox)
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2019-04-04 12:26:48
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2026-06
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人の胎内から生まれず、金属部品が組み合わさり造られたアンドロイド。
自らそれと同じようになりたいと、改造手術によって人間から機械へと生まれ変わったサイボーグ。
それぞれが人間社会での存在が認められ、気軽に人と機械の境界を乗り越えられるようになった時代。
改造度合いこそ、四肢や視覚、脳以外の全身と様々だが、中には脳を含めた全身を機械化し、生身を無くして自らアンドロイドとほぼ同一の存在になろうとする者も少なくなかった。
その目的は様々であり、自身の作業の効率化のためでもあれば、恋人と一緒の存在になりたいという理由まで、人の感情の数だけ存在する。
そして、最後の一片まで金属で構成される存在となった暁には、その出自以外はほぼアンドロイドと変わらないものとなる。
「じゃあねーおねえさーん!」
「ばいばーい、寄り道せずまっすぐ帰るんですよー」
ある都市の交番前。その目の前で下校中の小学生達を見守る女性警官の北山希美。
彼女は人々の平和と安全を守り、それに尽くし従事したいと警察官となり、その後職務を全うできるようにと全身の機械化手術を申し込んだ。
彼女の見た目は元々とても整っており、通り過ぎる人々の目を引くような美貌を持っているが、機械となったあとでも人間のそれとなんら遜色なく、むしろそれよりもさらに魅力的に見えるように作り変えられていた。
制服に隠れていない顔、手、膝下の皮膚はとてもすべすべとしており、産毛が一切見当たらない以外は人間の皮膚となんら変わった様子は無い。ぐっと目を近づけて凝視でもしなければ、その違いはわからない。
服に隠れていても主張する柔らかく大きな乳房に、人の劣情をくすぐる程よく細い体型。
少女的な幼さを雰囲気に残しながら、成長した女性という像をそのまま形にしたようなお姉さん的容姿も相まって、彼女は道行く小中学生、さらには高校生と、通りがかる様々な世代の男を虜にしていた。
「ふう……今日も平和ですね」
「そうね。できれば何事もなく、こうやって暇が続けばいいのにね」
同僚の女性警官と席につき、外を眺めては曇り一つ無い平和な光景を愛おしく思う。
同僚は希美と違い、生身の人間のままであるが、ちゃんとその動機に対しての理解は示している。
現在は食事が必要ないとわかってても度々菓子を押し付けたり、時に現れた不審者には協力して真っ向から対抗したりと、希美に対しては大きな信頼をおいていた。
しかし、だからこそ彼女に対して心配になる事案が胸の中で反響していた。
「ん、どうしたんですか? なんだか顔色悪いですよ?」
表情の変化を細かく捉えて、もしかしたらよからぬことでもあったのではないかと質問する希美。
人間の顔の動作に機敏に反応し、そこから発言を引き出す機能を搭載している彼女。
これを使い、怪しい人物がついた嘘を見抜くなどの手柄も上げていた。
「……やっぱり隠し事はできないわね。ねえ希美、最近現れた誘拐犯については聞いてる?」
「えっと……ええはい。以前データが送られてきましたね」
同僚の発言から、脳内ストレージに保存してある事件の情報を引き出す。
その話題に上がった事件とは、機械化した元人間の女性ばかりを狙ったハッキングについてだった。
それを実行する犯人の詳細も無く、現時点では被害者は二人のみ。
一人は未遂に終わったが、もう一人は登録情報や記憶などのパーソナルデータにいくつかの改竄が加えられた痕跡が見つかった。
しかしそれは、個人を深く弄るようなものではなく、何かの足跡を消すためのようなものであった。
その後被害女性は何の後遺症も異常もなく、今まで通り普通に機械の身体を持つ人間として暮らしている。
「不気味よね、機械化女性ばっかり狙った犯行なんて。希美も気をつけてよ? あなた美人なんだから」
「大丈夫ですよ。逆に私が引導を渡すくらいの気持ちで返り討ちにしてやりますから」
「……そうなるといいけど。なんか不安なのよね……」
「もう、心配性なんですから」
感覚を切り、眼球のレンズを直接布で拭いて汚れを取り除く希美。普通の人間が見れば、これほど痛そうな行為はないだろう。
機械化した希美にも、その痛く染みるような感覚は存在するが、痛覚信号を遮断することで何も感じないようにすることもできる。
彼女は基本的に、人間だった頃と変わりないように設定を組み込んで稼働しているが、このような身体の軽い手入れの時には、違和感を覚えないようにと自身の操作を行っていた。
「でも、捜査が進展してる雰囲気もないですよね」
「どうもきっちりと証拠を消してるみたいなのよ。さっき言った二人の被害者も、直接的に繋がるデータは明らかに手を加えられてたらしいわ」
「……相当に手慣れてますね」
その話を聞く限りでは、被害者の数は間違いなく二人では済んでいないはずだろうと思えてくる。
たまたま例外が現れただけで、おそらく記憶や痕跡すら完璧に消去された女性はまだまだいるであろう。
こんな卑劣な行為するような者を、一般市民の世界で野放しにしておくわけにはいかない。
希美の瞳の奥、レンズ部分が感情を表すように激しく動作する。与えられた職務を全うしつつ、人々の安寧を脅かすその犯人を捕まえようと心の中で決意した。
「ふふ、燃えてるわね」
「えっ、私そんな感情剥き出しにしてましたか?」
「瞳の奥が動きまくってるじゃない。ちょっと前から見てて思ったんだけど、内心で色々思ってると、中のレンズ動くわよね?」
「知らなかった……」
知らぬ間に自分の身体に生まれていた癖を見抜かれて、ちょっとだけ恥ずかしい気持ちになった希美。
レンズの動作を確認すると、確かに一分程前の動作履歴が増えている。
「でも、それだけやる気があるのよね? 何か理由とかあるの?」
「……ええ。私はずっと、悪人を捕まえるっていう警察の仕事にずっと憧れを持っていたんです。みんなの為に勇気を持って立ち向かい、悪い人たちを捕まえる。そして人々を守っていく。自分もそんな風になれたらいいなって思ってたんです」
「へぇ……それで、本当になれたわけだ」
「はい! だから、こんな風に人の尊厳を奪うような犯人は許せないんです。絶対に捕まえなきゃって」
同僚は希美の新たな一面を見たような気がして、自然と頬が緩んだ。
燃える正義感を貫き通し、一人でも多くの人々を助けられたらいいなと、内心で声に出さずに応援を向けた。
* * *
「そろそろ夜間のパトロールですね」
「いってらっしゃい。機械の身体は疲れなさそうでちょっと羨ましいわね」
「そりゃバッテリー続く限りは動けますけど、なんだかんだで疲れますよ! それじゃあ行ってきます。今日は少し長めに回りますね」
すっかりと日も落ち、日差しの代わりに人が作る街灯が街を照らす時間。
未だ昼頃と同じ調子で動き続ける希美は、いつもより少し気合を入れて夜間のパトロールへと繰り出した。
二人の間で話題に出たハッキング事件。それが脳裏にこびりつき、内心の正義感がちりちりと焼け付く。
特に夜は、暗闇に乗じて事を起こす者が現れる。
自分の身体は人々を守るためにある。その為に、強くあるために機械の身体へとなったのだから。
犯罪の恐怖に怯えるのは人間も機械も変わらない。人々の安心を脅かさないために、希美はよしっと気合を入れて夜の道へと歩きだした。
そんな彼女の姿を、遠い場所から狙い定めるように見つめる一人のスーツ姿の女性がいた。
「北山希美……やっぱり何度見ても可愛いわね」
彼女の名前は伊藤綾音。
純粋に一から電子部品を組み合わせて造られたアンドロイドであり、一連のハッキング事件の犯人である。
艶めく人工の素肌と、作り物でありながら肉感的な太もも。スーツ越しに形をくっきりと表す乳房と、人間であれば20代前半の若くありながら大人の女性的な顔立ちと雰囲気。
すれ違いざまにでも撮影中の女優か何かだと勘違いさせるような容姿を持ちながら、彼女にはある特殊な性癖が備わっていた。
「決めた。今日は彼女を連れて行っちゃおっと」
それは、元人間の女性をハックして連れ去り、その身体を好きにして一夜を過ごすというものである。
街をぶらつき歩く中やネット上の情報、動画サイト、SNSで気にいった女性に目星をつけ、その相手が元人間である場合にのみ行動ルーチンや行動範囲を逐一確認し、そして時期を見計らって対象の電子頭脳に直接繋がり、人格を一部改竄して自宅へと連れて行く。
綿密に考えられた拉致誘拐プランである。
希美達が話題にした通り、その被害者数は二人だけには留まらない。
気が済むまで致した女性は、記憶の改竄と人格データの復元を施し、その日のうちに解放される。
当然それまでのことなど覚えているはずもなく、警察に相談したりSNSで暴露されるようなこともない。
そのため、誰一人として綾音の足を掴むことはできずにいた。
「ちょっと前から目をつけてたのよね……希美、あんなに可愛くて美人で固そうで……それで警察官なんだから、もうたまんないわね」
自分の身体を抱き締めるように腕を組み、両胸を潰すようにしながら身体を興奮で震わせる綾音。
既に彼女の電子頭脳の中は、どのようにして希美と肉体的に電子的に交わろうかという煩悩で一杯になっていた。
そんな妄想に浸っているうちに、希美は交番から遠く離れた場所まで移動していた。
状況は整ったと言わんばかりに、綾音は口角を上げて交番を大きく避けるように歩き出す。
彼女が歩くルートは既に脳内の地図に記録してある。あとは自宅から近くてかつ人の通りが少ない地点で確保するのみ。
綾音は人工唾液で濡らした舌で唇を潤しながら、街灯の薄い暗がりの道へと消えていった。
その一方、希美は眼球に搭載された赤外線カメラで影となっている部分もきっちりと見通しながら、僅かな漏れも無くパトロールを続けていた。
もしもの時のために懐中電灯も携帯しつつ、怪しい人物や人影が無いかどうかをくまなくチェックし、異常無しと判断した通りには脳内マップで通過済みの印をつける。
たまに疲れた様子の人々も通行人も見かけるが、基本的にはそれほどあからさまに怪しげな人々は見られない。
夜でも変わらない治安の良さに、この街はとても良いところだと誇りに思いながら、マンションやビルが入り混じった暗がりの道へと足を踏み入れた。
「こういう道、昔だったら怖くて仕方なかったわね……でも、今は赤外線カメラがあるし、身体も強くなったしで、怖がることもないかな」
ごく自然に視界が遮られる闇は、丸腰の人間一人には大きな恐怖となる。もし数人の人間に囲われれば、その先に待ち受けるのは悲惨な結末であろう。
そんな人間のウィークポイントを克服できたことに、機械の身体はとてもいいものだと思いながら足を進めていく希美。
その時、後方からほんの一瞬、地面と何かが擦れるような音が聞こえた。
落ち葉や地面に置かれた物が動きかすったような音ではない。それは間違いなく、人の足との摩擦音であった。
「ん? 誰かい……きゃっ!?」
先程までは後方にも誰もいなかったはず。偶然の出会いということも大いに考えられるが、希美は小さく疑いを抱きつつ振り向こうとしたその瞬間、首筋の接続端子に何かが取り付けられ、流れるように背後から身体を押さえつけられた。
「ちょっ、話しなさい! 通報を…………あれ?」
機械の身体である自分に力比べできる程の力と、体格のいい男をとはとても遠い印象の感触。
この相手はアンドロイドや自分のような元人間であると確信し、その情報を乗せて通報をしようとした。
だが、いくらそのソフトを起動しようとしても動く気配が無い。なぜか連絡を入れることもできない。
予想外の出来事に、一瞬電子頭脳の処理が遅くなる。
彼女に暗殺者の如く手慣れた動作で襲いかかったのは、ずっと付け狙いチャンスを伺っていた綾音だった。
「残念、もう通報は対策済みよ」
「あ、あなたはいった………………人格データの現在の内容を保存しました」
まるで予め対策を学習していたかのように、瞬く間に行動を封じられていく。
身体での抵抗を続けていたその時、突如希美の動作がピタリと止まり、敵意に満ちていた表情がふっと無になった。
その後、決められた手順の如く人間ならば発することのない無感情なシステムメッセージを希美の声で喋り、再び動き始めた。
電源を入れられた人形のようにゆっくりと動き出した彼女には、それまで絶対に屈してなるものかと反抗していたような気迫は全く見られない。
近づいてきた知り合いの呼びかけに応えるかのようなゆったりとした警戒心の無い動きで、何者かが襲ってきた背後へと身体を向けた。
「あっ……あなたは一体……誰?」
手口や襲われた女性の情報しか取り入れられていない希美は、当然犯人の顔や声など知るはずもない。
そのはずなのに、彼女の視界に綾音が写り込んだその瞬間、今までに感じたことのない程の情感が湧き上がった。
過去の記憶データにはそのような情報は無いのに、どこかで出会ったことのあるような親近感。ずっと目の前の女性に熱い好意を抱いていたかのような情熱的な衝動。髪から顔から胸から胴から下半身から足から、それぞれのパーツが飛び込む度に下半身と中枢から生まれる性欲。
希美の足取りは自然と綾音の方へと動いていき、そして目眩が起きたように胸の中へと飛び込んでいった。
「わからない……どうして……あなたを見ているだけで、こんなに熱くて仕方ないわ……」
きびきびとした真面目な声は、感情に解された色っぽい声に塗り替えられる。
赤の他人に抱く劣情を我慢できずにぶつけながら、希美は顔を赤らめながらそのまま身体をぐったりと倒した。
それを優しく受け止めた綾音は、耳元で優しく響くように囁いた。
「素直になりましょうよ、希美。あなたはね、あたしのことが大好きなのよ。そうでしょ? 希美はあたしが大好き」
いつの間にか欠けていたパズルに、ちょうど合うピースが見つかったような感覚。
そうだ、私はこの人のことが大好きなんだ。名前も知らないし顔も知らないけど、この人が好きで好きで仕方ない。
どうしてでしょう……考えても考えてもわかりません。
「私は……あなたが……だいすき……」
「そう、素直で良い子ね希美」
「な、名前……教えて……ぇ……」
「ふふ、あなたってとっても堕ちやすいのね。まあいいわ。私の名前は伊藤綾音」
名前を聞いただけで股間が疼く。電子頭脳が痺れる。
恋なのかも性欲なのかもわからない悦楽に全身が包まれ、もう希美の中は綾音と一つになりたいという感情で埋め尽くされていた。
「それじゃあ私の家に行きましょうか。入りたいでしょ?」
「はぁ……ぁ……入りたい……です……」
「そんなに求めてくれるなんて、とっても嬉しいわ希美。ところで、いまあなたは何をしてるの?」
「私……私は……パトロールをしてて……それから……人々の安全を守るために……」
優しく手を握り、自分の家がある方向へと誘導する綾音。
その間にも、人格データの調整具合を確かめるために会話を交わし、好意の反応をどんどん引き出していく。
「それと、女性へのハッキング事件の犯人を捕まえたいんでしょ……?」
「………………?? え、なんで、綾音さんがそれを……?」
まだ公になっていない情報を知っている綾音の反応に、希美は一瞬理解できず処理落ちする。
意味深な雰囲気を作り出し、戸惑いの反応を可愛いと思いながら、勿体ぶった答えを希美にぶつけた。
「だってね、あたしがその犯人なんだもの。機械化した女性だけを狙ってハッキングをしかけてたのはあたし」
「…………………………」
希美の表情の動作と声が止まった。
初めて出会ってから好感度マックスの相手が、自分が追いかけると決心した犯人が同一人物だという事実を本人から聞かされ、思考と処理の歯車が噛み合わず混乱の渦に叩き込まれてしまった。
歩きながらも眼球が小刻みに動く。犯人は逮捕しなければならない。しかしそれを設定された好意が塗りつぶす。
そして、しばらく歩き続けた後でようやく声を発した。
「そうだったんですね……綾音さんが犯人だったなんて……」
「ふふ、逮捕しないの?」
「逮捕? する必要がないですよ。だって、綾音さんなんですから、大好きな綾音さんにそんなことできないですし、大好きな綾音さんの側にいられるなら、そんな事件どうでもいいです……」
つい数時間前の決意や心情を全てひっくり返すような言葉をとうとう発してしまった希美。
もちろんそれは無理矢理言わされたわけではなく、本人が人格データの反応から発した心からの言葉である。
あれだけ犯人逮捕に躍起になっていたのに、今ではその犯人に全てを捧げん勢いの恋心に満たされていた。
例え本来は母の腹から生を受けて、年月を経て成長した精神だとしても、今ではただのプログラムの塊。
数値を弄ればその通りに変わり、外から操作されればすぐにでも心変わりさせられてしまうモノである。
「嬉しいわ希美、あたしにそんなこと言ってくれるなんて。警察としての任務はいいの?」
「いいんです……それよりも、綾音さんと一つになることの方が重要ですから……」
脳内がピンクに染まった元人間の女性を暗闇で侍らせ、内心で悦に浸る綾音。
服越しにしか肌の感触が感じられない現状が少々もどかしく思う。
「さ、早くあたしの家にいきましょうか」
「はい、綾音さん……」
こんな綺麗な女性警官と身体を密着させるだけに留まらず、早く電子的な部分まで交わりたい。
パトロール時間というタイムリミットもあるため、この欲望をすくにでも発散させなければと、綾音は早速希美を自宅へと連れて行った。
希美はその間、潜入捜査ということも警察官としての職務も一切思考せず、大好きな綾音のために自分を捧げることだけを考え、その肌の柔らかさを少しでも感じられるほどに身体をくっつけ続けていた。
* * *
事前に練られたフローチャート通り、綾音は希美を捕まえた場所からそれほど遠くない距離を歩き、目的の自宅へと到着した。
相手が警察官なだけあって、他者にその姿を確認された時点で大きな危険が生ずる。
それは希美の同僚だろうと無関係な一般人だろうと関係ない。腫れ物のような存在である。
しかしそれでも、綾音は人間的な欲望に素直にかつ貪欲に従い、数日前から情報を集め、行動ルートと自宅周辺、二つの条件に噛み合う地点を算出。
そして捕獲するタイミングを付け回しつつ狙い、そしてそれを実行。希美の人格データを改竄し、今に至る。
ぐるっと視界を一周させて、念入りに人影が無いことを確認すると、決して人目には付かせないようにと招き入れた。
「ここが綾音さんの家ね……」
普通の発言にも色香が籠もり始めた希美。
その姿は淫乱とも痴女とも言えてしまうような、警察官としての姿とは大きくかけ離れた性を解放した姿。
彼女の信条も心意気も、ちょっとした操作で大きく捻じ曲げられてしまい、そしてそれをされたことにも一切気づいていない。
彼女はごくごく自然にこの造られた好意を本物だと感じ、いつになったら綾音自分を気持ちよくしてくれるんだろうと、少しずつ手をかけ始める。
しかしそれを一旦止めさせる。
「まだよそれは。出来れば、もう少し後で脱いでね」
「お願いです……早く……ぅ……我慢できない……」
人間らしさを演出する息を荒くして、辛抱たまらず制服越しに胸を揉みしだく希美。
あれだけ真面目に行動していた彼女がここまで崩れていく姿に、内心の欲心がくすぐられるが、今はぐっと抑えて自室へと連れて行った。
綾音の自宅には、リビングや浴室などのスタンダードに備えられた一室の他に自分の部屋だと定義した場所が二つある。
一つは巨大な外部ストレージが備え付けられた、様々なお楽しみの「玩具」が置かれている部屋。
もう一つは、無数の素体が放置されている部屋。
今回招き入れたのは、前者の部屋となる。
「ここが綾音さんの部屋……」
待ち焦がれた大好きな人の個室に足を踏み入れることができた希美。
この日が初対面にも関わらず、その事実が嬉しくて嬉しくて仕方ない。
溢れる情欲が行き場を失った希美は、一心不乱に制服を下着含めて脱ぎ去っていった。
「見てください綾音さん! この身体は全部綾音さんのものです。ずっと平和のためにこの身体を使ってきましたが、これからは全て綾音さんのために捧げますっ!」
人工の柔肌を惜しげもなく晒し、まるで警察に捕まる側のように堂々と振る舞う希美。
柔らかく大きな乳房は興奮し勃ち上がった乳首と共に揺れ、女性器ユニットは作り物のクリトリスがひくひくと求めるように動いている。
今の彼女には、本来の正義感に心を燃やしていた警官としての面影は全く残っていない。
機械となった身体を目の前の大好きな初対面の女性に捧げるためのラブドールである。
最初に性格を大きく弄りすぎちゃったかなと手順ミスを感じてしまっていた綾音は、ここで彼女の身体にちょっとした違和感を覚えた。
「あれ、そういえば……体液は補充してないの?」
希美の身体に感じた違和感。それは、ここまで発情しているにも関わらず、膣から人工愛液が一滴も垂れていないことだった。
機械化に際して、それまでの人体機能を残すかオミットするかというオプションが存在する。
後々欲しくなった際に機能の追加が可能なため、自身の理由によっては一部分を取り外してスペースを作り、そこに人間にはない機能を組み込むような物も存在する。
希美もそのような一人かと考えたが、その割にはきちんとした女性器ユニットが備わっている。
綾音は下腹部を優しく擦り、反応を確かめた。
「あっ……きもちいい……はい……そうなんです………警官として務めてる時は……あっ……体液は邪魔だと……思って……ぇ……ん……」
本人の言う通り、希美は業務に差し支えがあるからと、何も排出しないように人工愛液と乳液のタンクを取り外していた。
しかしそれならば、そもそもそのような機能をつけなければいいだけの話である。
乳房も女性器もきちんと人間のように組み込まれており、なおかつ人間よりもとても魅力的に作られている。
ちょっと意地悪なことをしてみたくなった綾音は、ゆっくりと冷たい床に押し倒し、陰核と乳首を優しく弄り回した。
「でも、その仕事にはおっぱいも股間もいらないわよね? どうしてついてるのかしら……?」
「ああっ! あっ、あっ……それは……ぁ……ひ、一人でぇ……ひゃんっ! し、してるんです……ぅ……」
「へぇ……そんなことしてたのね……」
実のところ、希美の自慰行為については記憶データを覗いた時に既に把握していた。
その上で煽り、彼女の恥ずかしげな反応を見てみたいという悪戯心からこのような質問をぶつけてみたのだった。
息を荒くして仰け反り、ぴくぴくと股間や乳首を震わせながら、だらしなく人工唾液を垂れ流す。
「それじゃあ……そんな希美と一緒に気持ちよくなってあげる。だって、あたしのこと大好きなんだものね?」
「は……い……ひああっ! 私は……ぁ……綾音さんのことが……だいすきで……ぇ……」
「ふふ、とってもいい子……それじゃあ、用意してあげるわ」
快楽信号が響く度に綾音への愛を口にする希美。
綾音は備え付けられた扉を開けると、そこには様々な機種に使用できる汎用ボトルが、液体を補充した状態で無数に置かれていた。
その大きさは様々で、乳液用、人工愛液用、人工唾液用と、いくつも用意されている。
綾音は人工愛液、乳液のタンクを一つ取り出し、床の上でぴくぴくと痙攣する希美の隣に置く。
そして、それらをセットするために、まずは両胸を鷲掴みにした。
「ひゃうっ! に、握られるの……きもちいい……」
胸部全体が性感帯となり、形が歪むほどに掴まれるほどによがり、嬌声を発する。
かちゃりと人体からは本来なり得ない無機質な音と共に両胸が左右に開き、生身一片すらない金属部品の中身が姿を表した。
「あ……う……私の中が……見られるなんて……」
恥ずかしさからか、晒された内部の駆動音が激しくなる。
人体であることを重視して、アンドロイドやサイボーグ達の内部音は静音仕様となっている。
それは人工皮膚やパネルなどの外装も合わさって成立するものであるため、現在の姿のように露わになれば、どうしてもその音は響き渡る。
まるでスカートの中や下着姿を覗かれてしまったような、顔から火が出るような情動が沸き起こるが、それと同時になぜか気持ちいいような、綾音にもっと見てほしいような正反対の感覚が生じ始めた。
綾音は続けて、人間の腹の中から産まれた証であるへそに指を突き入れ、中で関節を曲げて引っ掛ける。
「いひいっ!? へ、へそがぁ……お腹の中がへんなかんじでぇ……ああっ! あんっ、あっ、ひいっ!」
人間のときには感じられなかった、鋭いこそばゆさが変質したような快感に背中を仰け反らせる。
そして、思いっきり指を引っ張ると、へその周囲がかちゃりと取り外され、ぽっかりと人工愛液タンク分のスペースが空いた機構と、ほんの少しだけ顔を覗かせている人工子宮が姿を表した。
「あら、希美ったら子宮を残してるんだ。いつか子供産みたいとか思ってたのかしら?」
全身に浴びる快楽信号に反応するように、一定周期でビクンと震える子宮ユニット。
こんな奥の奥まで見られて何も言えず顔を赤らめた希美は、絞り出すような声でつぶやいた。
「み、見ないで……ぇ……あんっ……あっ……あっあっ……あ……」
可愛らしい拒絶の声に、さらなる劣情を催し始める綾音。
ふとした思いつきの波に乗り、綾音は再び希美の首元の端子にケーブルを接続。もう一度人格に改変を加えた。
「や……あ……こんなところ……見な……見ない……で……? 見て、見てください……私の子宮を、淫乱な警官の赤ちゃん袋を見てください……」
恥じらいに悦びが混ざったような歪な笑顔を見せて、それまでやめてほしいと断っていた言葉とは正反対の言動を口にし、二本の指で僅かに顔を覗かせた子宮を摘み動かした。
押される力に合わせてピンク色の肉袋はへこみ形を変え、有機物のような見た目を変化させる。
警察官らしい凛々しい姿は無惨に砕かれた。
「すっかり変わり果てちゃって……元人間のこういう姿、本当にたまらないわね。赤ちゃんに生まれてから今までずっと成長し続けて、機械になったら積み上げてきた人格がこんな簡単に変えられちゃうんだもの……あはっ、もう大好き……それじゃあ、組み込んであげるわね」
いわゆる人間性、人格、成長への加虐性。
その上で女性の身体を玩具にして弄ったり壊したりして気持ちよくなるのがたまらない。
そんな性癖を満足させながら、綾音は胸部と下腹部に人工体液タンクを組み込んだ。
直後、タンクの機構は低い音を上げて内用液を波立たせ、それぞれの排出口に繋がる管に液体を通す。
そして、溜まりに溜まっていた快感を表現するように、左右に開いた乳房から乳液を、膣からは人工愛液を噴き出した。
床には即座に白と透明の水溜りが現れ拡がっていく。
まるでその様は希美の快楽の度数を表しているようだった。
「もう、繋いだ瞬間にこんなに出しちゃうなんて、どれだけ溜まってたんだか」
「あ、あっ……ひっ……ぅ……ご、ごめんなさ……あんっ……」
「うふふ、謝っても許してあげない。……そろそろ時間ね。最後にとっておきのものを体感させてあげる」
いたずらっぽく嘘をつきつつ、職務中であることによる制限時間が残り少ないことを名残惜しみながら、綾音は希美への最後の仕上げに取り掛かった。
「希美って、今まで人間と変わらない普通の自慰ばっかりやってきたんでしょ? 記憶データ覗いたからわかってるわよ」
「は……はひ……そうです……私、オナニーが気持ちよくて……あっ、あっ……ああっ!」
会話を交わしている最中も、全身に快楽が押し寄せ続けている希美は右手で陰部を弄り、左手で乳液を纏わせながら乳房を揉みしだき乳頭を弄る。
いつもやっているものよりもちょっと激しい程度の自慰行為なのに、なぜか何倍もきもちいい。
綾音の声に耳を傾けつつ、熱い吐息を吐き続ける。
「ずっと普通の人間と機械の世界で生きてきたんでしょ? せっかくの機械の身体なんだから、もっと激しいことしないとね……あたしが機械の気持ち良さを教えてあげる。まずはこれ」
痛覚信号を快楽信号に変換するように設定しながら綾音が持ち出したのは、希美の装備品である警棒。
外部操作から腰を浮き上がらせ、足で支えた姿勢で固定させる。
そして、排出された膣液を、滑りをよくするためにアナルに塗り込む。その敏感さから、優しく触れられる度にびくびくと震える。
「機械の身体はね、繊細で頑丈なの。だからね、こんなことしても簡単には壊れないんだから」
「ひぎゃっ! ああ、アナルにわわ私の警棒がああああ!! ああっ! か、固くていい痛くない? きききもちいい……頭がおかしくなっちゃううう!!」
過去に何度も手に触れ、感触が染み込んだ硬質な棒が自身のアナルに容赦無く突き入れられる。
武器にもなり得る硬さの棒が敏感な内壁を刺激し、女性器への快感に匹敵するほどの快楽信号を発信させる。
周囲の人工皮膚は、ぐりぐりと掻き回されるたびに形を柔軟にいやらしく変え、膣からどくどくと人工愛液を分泌させた。
「どう? 人間の時だったらこんなことされたらとっても痛いのに、機械になるときもちいいでしょ?」
「あひいっ!? おお、奥までつつつ、つかれててててぇぇ!! こんなの初めてぇ……き、きか、機械の身体ってとと、とってもいいいいい……」
あまりの気持ちよさからか、電子頭脳の処理が追いついていない様子が見られる希美。
元人間の彼女が機械らしいよがり方を見せている姿に、感情値が激しく変動する。
人間ならば、音声機構に異常が起きるなどの誤作動は見られないだろう。他の電子機器がそれを発すれば、故障や不具合を疑われる。
だがこれが、アンドロイドにとってのとても熱い性感表現である。
それを人間が見せてくれる。自分達アンドロイドと同じ領域にいてくれる。無数の感情が入り混じり、綾音の心は燃え上がった。
「いいわ……本当に可愛らしいわ希美……それじゃあ、とってもいいものを味わわせてあげる」
最後に一つ、とっておきの行為を手ほどきしてあげることにした綾音。
開かれたままの下腹部に左手を突っ込み、女性器ユニットの側面部を握ってあげる。
右手でバッテリーを掴み、口を乳頭に近づけて甘噛しつつ吸い取る。
肉体的な快楽と機械的な快楽の両方が混ざり合い、未体験の気持ちよさが希美の電子頭脳に大波の如く押し寄せる。
機械化していながら人間的に生きていた希美には何もかもが初めての体験。
時には首を振っては蕩けた吐息を漏らし、時には壊れたような痙攣を見せて音飛びのような声を上げる。
「ああ゛っ! ぎっ! ひゃううっ! ききき、きもちいいきもちいいいい! もも、もっとしししてしてほし、ほし、ダメめめめ!! ああ、頭がまっしろになっちちちゃうう! イく! イッちゃうううう!!」
一切の休憩を挟まず、容赦無く押し寄せる膨大なる快楽信号。それは元人間にはあまりにも刺激が強すぎる代物。
廃人になってしまいそうだが、機械であるが故の処理能力によって全てを鮮明に体感しきれてしまう。
だらだらと擬似体液を放出し、がくがくと痙攣しながら、希美は機械となって初めての壊れそうな絶頂を迎えた。
「あっ……ああっ……あんっ……あ……ぅ…………」
まるで壊れたラブドールのような姿を晒し、周囲の床をべとべとに汚しながら規則的に身体を震わせる希美。
ついに果てたその姿を楽しそうに眺めていた綾音は、妖しい笑顔で希美の顔と全身を見つめた。
「どう? とってもきもちよかったでしょ?」
「あっ……あんっ……ああ……あ……は、はい…………すす、すご、すごく……きもちいい…………ああっ!」
焦点の合わない瞳でなんとか綾音の姿を捉える。
今の希美の姿を見ても、誰も彼女が模範的な市民を守る警察官だとは誰も思わないだろう。
「よかった。ねえ希美、あたしのこと好きって言ってみて」
「は…………い………あ、綾音さんの、こ、ここ、ことが大す…………人格データを停止しました」
自分から要求しておきながら、綾音はその愛情の宣言を言い切る前に希美の人格データを停止し、基礎人格を起動させた。
快感に溺れて蕩けた生気いっぱいの表情は、一瞬にしてなにもなかったかのような無表情へと移り変わった。
それでも信号の処理は続けられているのか、下半身は未だガクンと揺れている。
「ああ、楽しかった……身体重ねたかったけど、今回は時間が無いから仕方ないわね。さ、早く元に戻さなきゃ」
もっと希美という女性と愛欲を絡ませたかったが、それはそれ。
残念のため息をついて、綾音は元に戻すための操作を始めた。
「外部操作を受諾。現在の人格データを削除しますか? 警告、当機体は人間をベースに製作されており、人格データの削除は当機体のアイデンティティの…………受諾しました。人格データを削除します。しばらくお待ち下さい」
元人間の女性に備えられた警告メッセージを無表情のまま発する希美。
その途中で操作を進め、綾音は人格データの削除を進めた。
ぽかんと口を開けたまま一瞬動作を止め、されるがままに外部からの命令を受け入れ、なんの戸惑いも恐怖も無く人格データを削除し始めた希美。
その間に、綾音は接続した擬似体液のタンクを取り外し、外部操作からさらさらした洗浄液を通し、本来備わってなかったはずの体液の痕跡を洗い流す。
乳首と陰部から、さらさらとした無色透明の液体が流れ出る。
「人格データの削除が完了しました」
淡々と自身の自我や魂とも言えるデータを削除したことを伝える希美。
それまでの人間らしい姿とは正反対に、とても機械的で無機質に感じられる。
その後、身体中の擬似体液を拭き取り、淫猥な音と共に警棒をアナルから引き抜いて拭き取り、出会った瞬間から今までの行動履歴から信号処理の記録、映像データ等の無数の記憶データを全て削除。
そして、その隙間を補完するための捏造した記憶データを組み込み、バックアップ済の改竄前の人格データをインストールした。
「デフォルトの人格データとして設定しますか?」
「設定して」
「かしこまりました。しばらくお待ち下さい」
本来の人格データを、まるで外部から入れられた異物のような口ぶりで無機質に受け入れる希美。
自分の手で下着や制服を着せ、再度内部のデータを確認し、全ての問題をクリアしたことを確かめると、綾音は本来の人格データを起動しないままに外へと連れ出していった。
* * *
「はっ! あれ……私は……」
建物の影に覆われた暗がりの道で目を覚ました希美。
まるで唐突にこの場に立っていたような奇妙な感覚を覚えるが、それまでの歩いてきた道を思い出し、少しだけ考え込む、
「ちょっとぼーっとしてたのかな」
何かしらのアップデートでも入ったか、それとも自分の気づかない不具合が発生していたのか。
ともかく何事もなかったと安心した希美は、赤外線カメラを起動したまま暗がりを抜け、交番への帰路についた。
そして到着後、同僚が笑顔で出迎える。
「お疲れー。どうだった? 気になった人物とかはいなかった?」
「いいえ、それらしい不審者はいませんでしたね」
「それならよかった。平和で何よりだわ」
「本当ですね……ずっとこうだったらいいのに」
椅子に座り込み、ゆったりと精神を癒やしつつ消費したバッテリーを補充するためにケーブルを接続する。
全身になだれ込む解れるような気持ちよさが、希美をぐったりと崩れさせる。
「そっちは何かありませんでした?」
「なんにも。強いて言うなら、酔っぱらいが絡んできたくらいかな」
「ああ……ちょくちょくあるやつ」
「まあでも、話のわかる人だったし、すぐに帰ってもらってよかったわ。ほんと、いつもこうだったらいいのにね」
「本当ですね」
室内の明かりが暗闇の中を裂く。
一人の女性警官と一人の機械化した女性警官の他愛ない平和な会話は、静かな空間を温めた。
「そういえば、この間のパトロールで見たたたたた不審者について……」
「あれ、大丈夫希美? 今、声が変な感じになってたけど」
唐突に不具合を起こした希美の音声に不安を抱く同僚。
しかし当の本人はそれに気づいておらず、指摘されて初めて気づいたようだった。
「あれ、本当ですか? おかしいな……パトロール前にちゃんとチェックしたはずなんですけど……」
「見落としがあるかもしれないから、ちゃんと体調管理しなさいよー?」
「わかってますよもう」
あまり深くは考えず、気にする必要のないちょっとした不具合だと考えてすぐに話題を戻した希美。
自分に起きたことなど考えることも、辿ることすらできないまま、彼女は何も知らずに自分の日々を過ごし、警察官として全うに暮らしていくのであった。
* * *
「ふふ、またいつかあなたと遊べるのを楽しみにしてるわね」
綾音の自室の一つに設置された巨大なストレージ。
そこに新たに保存されたのは、自身がハッキングし弄くり倒した希美の改竄前の人格、そして改竄後の人格、記憶データ等の全ファイルだった。
綾音が連れ去った機械化女性は何事もなかったかのように解放されるが、パーソナルデータをコピーした上で外部ストレージに保存し、いつかまた様々なセックスやプレイを交わすために取っておく。
いわば電子的なクローンの保存庫のようなものだった。
「希美、可愛かったなあ……電脳世界で人格だけで交わるのもいいけど、やっぱり実世界の身体でシたいわね……」
容姿のデータも完璧に保存している。
また性交したいと思ったときに保管した女性達の身体を複製し、互いに気持ちよくなるその時を待ち、綾音は外部ストレージに身体を当て、優しく全身で撫で擦った。