【小説】書き溜めてたやつ3本 (Pixiv Fanbox)
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『ぷぅぷぅ夢のなか』
「……まだ、ねたくないの」 夢ちゃんは、小さな手で人間さんの服のすそをきゅっと握って、視線を下にそらした。 夜もふけて、時計の針はすっかり遅い時間を指している。眠気にまぶたを重くされたその顔は、今にも眠ってしてしまいそうだ。 「ほら、目がとろんとしてるよ。夢ちゃん」 「し、してないもん……」 言葉とは裏腹に、重くなった瞼がまた、ぱちぱちと瞬きながら閉じかける。そんな夢ちゃんを、人間さんはそっと抱き上げた。 「……ちょっとだけ、だっこしててあげる。ね?」 「……み……」 ふわりと腕の中に収まった夢ちゃんは、ぴるる、と耳を揺らしたあと、嬉しそうに人間さんの胸に顔を埋めた。両手でぎゅっとシャツをつかむ。 人間さんは夢ちゃんの背を優しくぽんぽんと叩いた。ゆっくり、ゆっくり。呼吸に合わせるように、鼓動に寄り添うように。 夢ちゃんの体からは、ほんのり甘い、あたたかい香りがした。ほわほわの毛並みが服越しにくすぐってくる。 「……み、み……」 小さな声が漏れる。 さっきまで抵抗していたのが嘘みたいに、夢ちゃんの体はとろりと力を抜いて、人間さんに全身を預けていた。ちいさな耳がふにゃんと寝て、呼吸も穏やかに。 「ぷぅ……ぷぅ……」 寝息。ほんの少しだけ鼻が鳴ってるその音は、耳に心地よくて、思わず笑ってしまうほど愛らしかった。 彼は夢ちゃんの耳の間に、そっと口を寄せる。 「おやすみ、夢ちゃん。大好きだよ」 それにこたえるように、夢ちゃんは小さく「み……」と夢の中で呟いた。 安心に包まれながら、彼の腕の中で眠る夢ちゃん。その寝顔はとても幸せそうで、まるで天使のようだった。
『ふわふわこたつと』
外は雪。 風が吹けば窓がガタガタと鳴り、外に出るのもためらうような寒い日だった。 「さ、さむ……こたつから出られない……」 ぬくぬくの布団をかぶったまま、こたつの中で丸くなる人間さん。 でも、いくら温風ヒーターをつけても、どこか足先が冷えるような、芯から冷たい冬の空気が残っていた。 そこへ―― 「にんげんさーん!」 もぞもぞと、布団の隙間から小さな体が滑り込んでくる。 「夢ちゃん!夢ちゃんも寒かったよね?…あれ、でも体あったか……うわ、ふわふわ!」 夢ちゃんがもぐりこんできた瞬間、こたつの中が一気に“春”になったかのようなぬくぬくに変わった。 「みゃ〜さむいよぉ〜…」 小さな耳がぺたんと倒れ、夢ちゃんが人間さんにぴったりくっつく。 その体はふわふわで、もこもこで、ほんのりと良いにおいがして―― 「え、めちゃくちゃあったかいぞ…こたつより夢ちゃんのほうが暖かいまであるな」 「みへへ、にんげんさんのおてて、つめたいね」 ちいさな手で、人間さんの手を包みこむように握る夢ちゃん。 その指には、やわらかい肉球があって、ぷにぷにしていて―― 「夢ちゃんってほんと…なんでこんなにかわいくてあったかいの…。かわいすぎて死んじゃう」 「え!?し、しなないでぇ!」 「例えだよ!大丈夫!死なないよ!」 人間さんが思わず笑うと、夢ちゃんの耳が『よかった!』と言わんばかりにぴくんと跳ねた。 ぴとっと体を寄せて、ほっぺたをすり寄せてくる。 「みぃ…あったかくて、しあわせ〜。にんげんさんがさむくないように、もっとぎゅーってしてあげるね」 「ゆ、夢ちゃん…!!!反則級だよっ!」 「はんそくきゅー?」 「可愛すぎるって意味〜!」 「みへへ!」 夢ちゃんが嬉しそうに喉を鳴らすように笑う。 ふわふわ尻尾がこたつ布団の中で『ぴるぴるぴる』と高速で動くことで、こたつの中の温風が循環し、より極楽になっていく。 (ああ、もう外に出たくない…一生ここにいたい…) 人間さんは夢ちゃんをぎゅっと抱きしめながら、心の中でこっそりそう思った。 でも、夢ちゃんもきっと、同じ気持ちなのだろう。
『ひだまり』
休日の朝。 ぽかぽかの陽射しがカーテンの隙間から差し込んで、部屋の中はまるで春の中のよう。 「みぃ〜、あったかい……」 夢ちゃんは人間さんの胸に顔をぎゅっと埋めて、ふわふわのしっぽをゆるゆると揺らす。 今日は朝からくっついて、ずっといっしょにいられる日。 特別なことはなにもないけど、それがなにより幸せなこと。 「夢ちゃん、起きてるなら朝ごはん一緒に食べに行こうよ」 「やーん、まだいっしょにぬくぬくしたい〜…もっとぎゅーするー……」 夢ちゃんの声はちいさくて甘くて、まるで寝ぼけた子猫みたい。 人間さんはくすりと笑って、やさしく夢ちゃんの髪をなでた。 「…私も、ずっと、こうしていたいなあ」 「うん…ずっと、ずっと…ここにいるの…」 夢ちゃんの瞳はとろりととろけていて、その奥には“幸せ”しか映っていない。 一緒に食べるオムライスも、お揃いのカップにある飲みかけのココアも、ソファの上のブランケットも、全部が“ふたり”の色をしていて。 なんでもない日。 だけど、それは“かけがえのない日”。 夢ちゃんの頬にキスをすると、「みゃっ」と声を上げて真っ赤になって―― それでもうれしそうに、にこっと笑う。 「にんげんさん、だいすきー!」 「うん。私もだよ、夢ちゃん」 その日も、次の日も、その先もずっと。 ふたりだけのひだまりの中で、幸せな時間が続いていく。
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