女帝、ともに散りゆく (Pixiv Fanbox)
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BZM女子プロレスリング。
昭和期に活躍した伝説的女子プロレスラーが設立し、以降も国内のプロレス団体においても最大手として知られ、その看板は不変不動の価値を築いている老舗である。
だが同団体の長い歴史のなかで、その名には無情にも深い深い傷がつけられてしまった。
遡ること2ヶ月前。
"白のプリンセス"白石姫華(26)と
"ヴァイオレット・ヴィーナス"南野舞(27)
2vs2ルールにおいて最強を誇るタッグチャンピオンの2人が、あろうことか中〇生コンビにコテンパンにのされてしまったのだ。
事の発端は両チームの舌戦。
若き才能の発掘と育成のため、学生プロレスの逸材を招き、所属選手と試合をする"イリミネーションマッチ"
例年の恒例イベントの出場者として選ばれた神童タッグの凛・サヤ組は試合前の記者会見にて
舞の冷笑に対し、返す刀で「今ですらオトナたちなど敵ではない」と執拗に口撃を加え
これに激昂した舞がエースとしての特権をふるい、ひと回りも年下の少女たちに前代未聞の"完全決着戦ルール"を叩きつけた。
………のだが、実際の結果は誰も予想しえなかった姫華と舞の屈辱的惨敗。
ともに大きな尻に手形をつけられ、そして一方は気を失ってなお玩具のように弄ばれ、一方は可哀想と情けをかけられ肩に担がれた。
この醜態を大観衆とマスコミの面前で晒したのである。
翌日、スポーツ新聞の朝刊は2人の無様な負け顔まで使ってこれを大々的に報道し
この試合は【悪夢の夜】と名づけられ広く業界の内外に知れ渡ることとなった。
ーーーそして時は戻り現在。
BZM会長・竹村は悪夢の夜から悩みに悩み抜き、苦渋の決断を下すに至った。
それは、凛・サヤ組へのリベンジ戦オファー。
選手や社員からは、恥の上塗りだと猛反対を受けた。
が、経営陣としてはあの恥辱を払拭しないことには団体の存続すら危ういと判断したのだ。
プロレス団体において、当然ながら集客に必要なものは選手の強さ…いわば"格"。
団体最強の証であるチャンピオンベルトを巻く2人がむざむざとアマチュアの少女にボコボコにされ、それを放置したままでは団体としても苦しい状況が続くのは必然だった。
実際、BZMはマスコミやSNS上のファンからも「王者ですら子どもに負ける団体」と厳しい意見が相次ぎ、チケットやグッズの売り上げはこの2ヶ月間で目に見えて下降していた。
見て見ぬふりをして風化を待っても
あるいはリベンジ戦をしかけても
いずれにしろ恥だと言うなら、再戦の勝利に望みを賭けるのが最善だというのが竹村の思惑だった。
こうしてプロ最高峰の団体が、学生プロレス団体に「再戦を頼み込む」という逆転現象が業界に起きるわけだが、竹村は断腸の思いで少女たちの属する団体に交渉の連絡を入れる。
これを受けた凛・サヤ組の返答は………
"構わないが、条件を含めた協議はマスコミを入れた会見の場で行う"
というものだった。
いわば表舞台で行われる、逃げ場のない状況での話し合い。
これに対してもBZM内部からは怒りと不満の声があがる。
だが、やむを得なかった。
会見に向けた期日の調整が進むなか、会長室にて、部屋の主・竹村と彼に呼ばれた2人は話し合う。
舞「あのクソガキ共……!!こっちが下手に出たら……調子に乗ってくれるわ………!!!」
姫華「抑えてください舞さん。この狡猾さ、どう見ても子どもだけで出来る判断ではありません、恐らくは向こうサイドの大人たちの入れ知恵……」
「向こうがどんな条件を提示してくるかは分かりませんが、オファーを出した時点でその情報はいずれ漏れます、後には引けません」
竹村「ああそうだ…我々にはどの道リベンジを果たしてBZMの看板を守るしか再起を図る手立てはないのだ、実に癪な話ではあるがな…」
「姫華……!会長も…!つけあがられて悔しくないの!?」
「悔しいに決まってるじゃないですかっ!!!………私だって……悔しいです…」
日ごろは冷静な姫華も拳を握って声を荒らげる。
彼女もまた、ひとりのプロレスラーとして、大人として、乙女として、先日の試合で受けた仕打ちには耐え難い恥辱を感じていた。
「ですがこちらから声をかけ、返答が望んだものじゃなかったからと手を引けば…それはもう一度負けるのと変わらないだけの恥…
それに私たち自身の誇りを取り戻すためにも、やるしかないんです」
「…………くっ!!」
会長室には重苦しく、冷たく張りつめた空気が漂っていた。
それから数日が経ち、会見の日。
横一列に並べられたテーブルに姫華・舞と凛・サヤの4人が座り、オトナたちにとっては忌まわしい"悪夢の夜"以降…彼女たちは再び顔を合わせた。
それぞれの手元にマイクが用意され、記者の「対戦相手に向けてコメントはありますか?」という質問を受けると、まずは開口一番、前回と同じように喧嘩っ早い舞が威勢よく口撃をしかける。
舞「ふん…アマチュアのお子ちゃまたちがたまたま勝ったのがよほど気分が良かったのね」
するとこれまた以前同様、中〇生コンビの好戦派・凛がそれを手に取り反撃に出た。
「って言ってますけど、んー、ウチとしてはまず…どんな条件が用意されるか分からないなかでも逃げなかったデカケツおばさんたちを、褒めてあげたいと思いますw」
「おケツと同じくらい度量もでかかったってことでw」
「へぇっ!?り、凛ちゃん!また失礼だよ……」
自分の引き出しには到底ない暴言に驚き、慌てて制止する横の少女は気弱な穏健派・サヤ。
だが凛は気にするなと目配せをし、言葉を続ける。
「まあムダ話しててもしょーがないからウチらが考えた条件、さっそく言うね?」
「ずばり………タッグチャンピオンのベルトを賭けること!!どお?飲める?w」
竹村「なっ………!?」
姫華「……なるほど」
舞「ふ…ふざけないで!!タイトル戦はプロライセンスを持つ選手間でのみ行われるって規定でしょ!?ていうかそれ以前にアンタらみたいなガキ………」
凛「だからさー、それをBZMのパワーでなんとかしてってことよwリベンジしたいんだったらねw」
サヤ「お姉さんたち…すいません…凛ちゃんがどうしても聞かなくて」
舞「っ…………!!」
竹村「舞、抑えてくれ」
姫華「……会長、私は構いません」
舞「姫華!!」
姫華「前代未聞の事態は承知ですが、それはルールとて同じこと。異例の試合であってもベルトを守り抜いてこそ、真のチャンピオンだと考えています」
「まして私たちがつけてしまったベルトへの"傷"を私たちで埋められる機会を得られるのであれば…!!会長、この試合でマイナスをゼロに戻しましょう」
凛「そうそー!白いおばさんはわかってるよねー、お尻はでっかでかのポヨンポヨンだけどw」
姫華「…………」
サヤ「あ、あの姫華さんも、ごめんなさいホントに……」
(やっぱり睨んでる……姫華さんこわい…)
竹村「わかった…条件はそれで以上か?」
舞「会長まで…!」
凛「うん、あとはまあ防衛戦までしっかりBZMのリングで、公式戦としてやらせてねってことくらいかな〜」
舞「っ……もうすっかり獲った気でいるのね……!!私たちの油断に乗っかっただけのアマチュアが……!」
凛「そりゃそうだよw前の試合がまぐれだったとでも思うの?紫おばさんwしっかり実力と才能と若さとでボロ負けしたんだよーw」
舞「このっ……!!」
凛「ていうかそっちが"私たちとやるのはまだ早い"だの文句垂れて喧嘩売ってきて、怒りに任せて勝手に決めた完全決着ルールなのに油断してたの?wそれもおバカじゃんw」
「そもそも完全決着っていいながら負けたの悔しいからリベンジさせてくださいって、完全の意味わかってる?
そんな身も蓋もない話を受けてあげてるんだからベルトを景品に出すくらいは当然だよねーw」
舞「ぐっ………!!」
姫華「舞さん」
竹村「あぁ…舞、その通りだ。では2人とも、話はわかったな。
それでは、マスコミ・ファンの皆さん、BZMはただいま提示された以下2点の再試合受諾の条件
"本試合をBZMタッグ王座戦とすること"
"挑戦者組の戴冠後には通常通りに防衛戦を執り行うこと"
を認め
チャンピオン 白石姫華・南野舞 組
vs
挑戦者 凛・サヤ 組
のタイトルマッチを行うことを宣言いたします」
凛「決まりだね♪じゃ!おばさんたち、当日はおしっこチビっても良いようにオムツでも履いてくるんだよ〜www」
舞「上等よ……そっくりそのままその言葉、返してあげるわよガ…お嬢ちゃんたち…!!」
姫華「今度こそ負けません。伝統と栄誉あるBZMの看板、ベルト、すべてを守り抜きます。チャンピオンの名にかけて…!」
サヤ「チャンピオン…すごい響き。。なれるのかな、私たちに…」
苛烈な舌戦の内容に反して試合そのものはトントン拍子で決まり、これより後日、試合の日程と会場も定まった。
タイトル戦は3週間後、BZM本社併設のスタジアムにて、この試合のみのワンマッチ興行。
当日まで、竹村の提案で姫華と舞は学生プロレスの試合映像から凛・サヤの戦い方を研究することとなる。
プライドの高さを日ごろから隠さない高飛車な舞はもちろん、一見冷静な姫華もまた…前回の完敗が実力によるものと心のどこかで気づいていながら認めたくはなかったが
それでも、深層心理に植え付けられた少女たちへの恐怖心は2人の足をトレーニングと作戦会議に向かわせる。
自分たちすら思いつきもしなかった連携を駆使する抜群のチームワークに未知のテクニックとスピード、それらを持続させるスタミナ……映像を見れば見るほど凛とサヤの脅威は増し
幾度となく敗北への不安がモヤモヤと心にまとわりつき、それを、最強を誇る自分たちが相手の手の内を知った以上は負けるはずがないと懸命にかき消す。
そうした葛藤と研鑽の末に編み出した"対中〇生用の新戦術"は彼女たちの自信を復活させ、女帝たちは運命の日を迎える。
凛「おーし、サヤ下がってて!前と同じで、ウチがおばさんたちボコって疲れさすからその間にアンタの関節技でトドメいこ!ぷにぷにのお肉まみれだからすぐバテるっしょ!w」
サヤ「うん、わかった!」
舞「作戦を堂々と話すなんて余裕ね…まあいいわ、姫華!」
姫華「はい舞さん、まずは私が出ます…!」
凛(あれ、紫おばさんキレないじゃんwウチのこと絶対ぶっ飛ばしたいはずなのに…てことは何か作戦があるってことだろうねw
いいよ、見せてごらんw)
試合は凛vs姫華のマッチアップではじまった。
中〇生組の戦術は凛が話した通り
・打撃や挑発が得意な凛が先鋒にでて敵が疲弊したところで関節技に長けたサヤにつなぐ凛→サヤコンボ
・あるいはサヤが先鋒で、関節技を警戒して逃げ回る敵を、体力の消耗と心理的プレッシャーでジワジワと疲弊させ、凛につないで蹴り技や投げ技を叩き込んでしとめるサヤ→凛コンボ
このわずか2パターンという単純さだった。
だが恐ろしいことに、戦術が知れ渡っていてもなお基礎戦闘力が高すぎるため誰も凛・サヤの連携を崩せずにおり、それゆえ彼女たちは上級生を差し置いて学生プロレスを制覇したのだ。
今回、先陣を務める凛に対し因縁深い舞がおとなしく引き、好相性なテクニカルタイプかつ冷静な性格の姫華が出たのは
その情報を受けて練ったオトナたちの戦略のひとつ。
凛の攻撃をいなしつつカウンターを入れ、いずれ業を煮やしてサヤに交代するであろうところまでを想定し、重い攻撃が得意なパワータイプの舞はあとから出てくる算段であった。
だが試合序盤、双方が相手の出方を伺う小競り合いの場面で、想定外の事態が起こる。
姫華「うぐぁっ………………そ、そん…なっ…」
凛「どお、白いおばさん、ウチの三角絞めwあてが外れたね〜wウチは打撃のが得意ってだけで、関節技もできないとは1回も言ってないよね?w」
「プロレスは人気商売、個性の戦いでもあるんだから、キャラクター付けがあった方がお客さんも推しやすいでしょ?」
「サヤも同じ、あの子は優しいからあんまやらないだけで別におばさんたちのことならボッコボコにできるくらい張り手とか蹴りもすごいからねw」
「だから悪夢の夜でもサヤのお尻叩きでおばさん飛び上がってたじゃんwあれで気づけないのが残念だよねぇ…w」
姫華「あっ……がっ……………」
舞「姫華!!」
凛「サヤ!見せてあげなよ!」
サヤ「えっ!?で、でも……」
凛「いいからいいから!反則しろって言ってるワケじゃないんだからさっ!」
そう言うと凛は姫華を三角絞めから解放し、立ち上がるとフロントネックロックの態勢で締め上げる。
尻の突き出たまぬけな格好の姫華の背後にサヤを呼び寄せ、攻撃を指示した。
凛「おらっ!このケツに思いっきりぶち込んであげな!アンタの"皮裂きチョップ"!」
姫華「かわっ………!?!?」
サヤ「うんっ……姫華さん…ごめんなさいっっ!」
ヒュッッ……ピシィィィィッッッ!!!!!!!
姫華「っ!?!?きゃあぁあぁあぁあ!!!」
切り裂くような鋭い音と共に、手刀の形につくった手のひらがムチのようにしなって打ちつけられ、姫華の尻は激しく波打つ。
姫華はまぬけな立ち姿のまま脚を激しくバタつかせ、同時に赤く腫れあがった尻がぶるんぶるんと揺れ動く様はよりその情けなさを助長する。
サヤ「あっ…痛かったですか…?ごめんなさいっ、手加減はしたんですけど…」
姫華(こっ…………これで手加減っ……!?)
凛「あーたしかに…皮裂けてないもんねwでも今のリアクション面白かったよ白おばさんw」
「よっしゃ、じゃあサヤ、ついでに"アレ"もやってあげなよw」
サヤ「えっ!?アレ!?あれはコメディマッチ用の………」
凛「それ用のおふざけ技でもおばさんたちには必殺の一撃になるって!wほらほらウチらレスラーなんだからお客さんに元とって貰わなきゃ!」
サヤ「う、うん…じゃあ姫華さん…いきますね……」
姫華(なっ…なにがくるって……)
「えいっ!!」
いまだ尻のヒリつくような痛みが引かないまま、姫華は次なる一撃を覚悟する。
蹴りか殴打か、果たしてどんな重い攻撃がくるのかと冷や汗を流していたが…………
ずぶりゅうううううううううううっっ♡♡♡
姫華「ん"お"お"お"あ"ぁぁぁお"お"お"ぁっっっっ!?!?♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
凛「あーーーっはっはっはっはっはっは!!wwwwww今の声wwwぷっくくく………ww」
細く鋭いサヤの人さし指が忍者が印を結ぶような形で揃えられ、姫華の肛門にねじ込まれる。
滑稽な叫び声、勢いよくすぼんでエクボを作る大尻、ピンと伸びた脚。
その姫華のあまりにおかしな様に、客席からは爆笑が巻き起こる。
姫華「〜~~~~~~~っ!!!!/////////」
サヤ「姫華さん…じゃ、じゃあ私はコーナーに戻りますねっ💦」
凛「お疲れサヤ!おばさんも恥ずかちかったね〜?おーよちよちwwどおわかった?ウチらは何やらせても最強なわけw」
「まあこのまま絞め落として勝ってもつまんないし、やっぱり打撃で戦ってあげるよ」
「おばさんの動き見てたらわかるもん、ウチらの試合よく研究してきたでしょ?wだから関節技はこの辺でやめてあげるw」
そう言い終わると、凛はネックロックが解かれた勢いで前のめりに倒れそうになった姫華をキャッチし、そのまま腹ばいにして自らの太ももに乗せる。
「その代わり今度は紫おばさんに変わって……ウチの地獄のお尻ペンペン、食らってもらうから覚悟してよね!!」
姫華「……ひぁっ…………………!!」
らしくない短い悲鳴をあげる。
そして瞬く間に会場に響き渡るスパンキング音。
自身よりも小柄な女の子の膝のうえで
金の光沢を備えたブルマ型のセパレートコスチュームから贅沢にはみ出た尻肉がばるんばるんと無様に躍動する。
「そーれっ!ぺーーーんw」
バッチイイイイイン!!!
「あおおおっ!?!?♡♡♡」
「もういっかーい♪」
ピッシャァッ!!
「んぎぃぃいぃいっっ!?!?♡♡♡」
「あっはは!wそれ右!左!真ん中っ!」
パァァン!!パァァン!!バチィイン!!
「んぎっ!?♡♡♡♡ひゃうぅっ!?♡♡♡んぐぅぅぅううぅっっっ!!!♡♡♡♡♡♡♡♡」
「もういっかい………って見せかけて」
ズブリュウウウウウウウウウッッッッッ♡♡
「ひゃおおおぉぉおぉおおぉおおぉぉぉっっっ!?!?♡♡♡♡」
「ぶっ…あっはははは!!wwwすごい足ピンするじゃんw不意打ちカンチョーそんなに好き?ねえねえw」
「思い出すなぁ、生意気な先輩たちもこうやってやっつけてあげてたのw」
ツンツンツンツン♡
「んぐっ…!!///////」
「まだムズムズしてんじゃない?お尻の穴wほーれつんつんw」
「や、やめっ……/////」
「うるさーいw」
パァァァアァァァン!!
「ひゃあぁぁぁあっ!!!♡♡♡」
本来なら大した拘束もされていないので抵抗できるところだが、姫華は戦意を失ってしまっていた。
"打撃の凛・関節技のサヤ
戦術は先鋒次鋒を入れ替える2パターン"
この前提のもとに対策を練り上げてきた。
彼女たちにも苦手分野があると思ったからこそ見えた光明。
だがわずかに見えた望みは虚しく、幼児がつくった砂場の城のように脆く崩れ去っていく。
公表している得手不得手はプロレスにおけるキャラクター付けのため………
姫華たちはこの天才たちに戦う前から踊らされ、自己プロデュース力や情報戦においても敗北していたのだ。
まして、それはそんなイメージを守りながらでも初戦で自分たちを倒せたという実力の裏付けになる。
姫華はそんな非情な現実のすべてを悟り、凛の膝のうえで何度も振り下ろされる平手に身を委ねていた。
凛「紫おばさんも止めたかったらおいでー」
舞「………っ!!クソっ…!」
見てはいられないと舞もロープをくぐり、お尻ペンペンに興じる凛の背中を一心不乱にボカスカと蹴りつける。
カットプレー。
プロレスのタッグマッチでは原則として1vs1、そこに交代を駆使しながら戦っていくのだが先ほどのような連携技を行う場合や
3カウント狙いのフォール(押さえ込み)では控えの選手が乗り込んでそれを妨害することが認められている。
だが、控えの舞が出るのであれば公平を期すため同じようにサヤが出て迎え撃つことも可能。
こうなると、リング上で2vs2の状況が成立される。
サヤ「凛ちゃん!」
無慈悲なお尻ペンペンが行われる傍らで、サヤと舞も睨み合う。
舞(姫華を助けなきゃ、コイツに構ってられる時間はないわ……!蹴りのフェイントをかけて脚を掴もうとした無防備なところに、渾身の肘打ちを入れるっ…!!)
舞「ふっ…!」
サヤ「ひゃっ!」
舞「隙ありよっ!!」
サヤ「っ!…肘!捕らえましたっ!」
舞「…………はっ……?嘘…………」
だがサヤは舞のフェイント攻撃を目視で捕らえ、肘を掴みながらそのまま舞の後ろに回り込む。
サヤ「ごめんなさい舞さん…凛ちゃんのことは守らなきゃ…!」
それが舞が試合中に聞いた最後のサヤの言葉になる。
後ろに回ったサヤは腕を離すと、次の瞬間には舞の首に腕を絡めてスリーパーで締め上げる態勢に入った。
未だ終わらない姫華のか細い泣き声と、叩かれるたびに尻が悲鳴をあげているような渇いた音。
だが力及ばずたちまち薄れていく意識。
視界がぼんやりと暗くなっていく。
汗、目には涙、口からは涎、そして鼻からは鼻水、それらが混じり合い舞の美しい顔をぐしゃぐしゃにしながら悔しさと苦しみの海に沈んでいく。
(なんでっ……………!?なんでこんな小娘たちに何度も負けなきゃいけないのよおっ……!!やだやだやだやだやだぁぁっ………)
「…もう……い……や……」
一方の凛も、その顛末を見届けると姫華を両肩に担ぎ、Tの字のような形で横に持ち上げる。
目的は、観客用に設置された眼前の巨大モニター。
凛「おりゃあっ…!う、流石に重いねっ…!w」
「見てごらん、良い顔してるから…さっ!」
だが姫華の反応はない。
彼女は尻叩きに屈して舌を出し、滝のような涙と汗、そしてつららのような鼻水をだらしなく垂らしながら白目を剥き、気を失っていた。
凛「なんだそっかwでもむしろ良かったかもねwじゃあ、おしまーい!」
そう告げると凛は姫華を持ち上げたまま真後ろに倒れ込む。バックフリップというプロレスの初歩的な投げ技のひとつだった。
バターーーン!!!と大きな音を立ててリングがトランポリンの如く弾み、姫華もバウンドして叩きつけられる。
試合時間4分23秒ーー
試合、もとい姫華と舞の時代の終わりを告げるゴングがカンカンカンと打ち鳴らされる。
『新チャンピオン誕生ッッ!!勝者!凛・サヤ組!!』
最強と謳われた女帝たちは、両者ノックアウトというこれ以上ない屈辱的な負け方を喫し
歴史ある至宝であったBZMのチャンピオンベルトは歴代最年少の王者たちに渡ることになる。
「おー勝った勝った。おばさんたちにはもうちょっと強くあって欲しかったけどねぇ…w」
「ねえ凛ちゃん、姫華さんたちホントに全力だったのかな……?」
「……タイトル戦で手抜かんでしょ!?」(そう感じるくらい弱すぎたんだねおばさんたち、かわいそっw)
「そ、そうだよね…」
「まあでもウチら2人で天下とろってチーム組んだけど、めちゃくちゃあっさり夢叶っちゃったなwこの先どーすっか…」
「私はお母さんに電話しようかな…」
「…そんなすぐ先じゃなくてよ!んーまあ、とりあえず最多防衛記録は塗り替えてやりたいな!いっちょ、おばさん狩りしてやるか!w」
その後、目を覚ました姫華と舞は後輩たちに抱えられ、人目もはばからずボロボロと悔し泣きをしながら控え室に戻っていった。
その背中はあまりに空しくーーー。
この瞬間をもって、BZMは選手やファン、多くの関係者が恐れた悪夢の夜の再来を見ることとなった。
2人の戴冠はBZMの終焉を意味する………かと思われていたためである。
しかしながら、姫華と舞の惨敗とは対照的に、BZMはこの後も最大手団体として存続することになる。
竹村「まさかとは思ったが……姫華、舞……」
「残念だが、万が一のために手を打っておいて正解だった…」
プロライセンスがなければタイトル戦に出場できない、という舞も会見で指摘した規定に則り、竹村は会長の権限で凛とサヤに異例のプロライセンスを発行したのである。
これは規定の遵守を建前に、万が一負けた場合に備え、苦しい言い訳にはなるが
"プロがアマチュアに負けたのではなくプロがプロに負けた"
という体裁を取るためでもあった。
それゆえライセンスを持ち、ベルトをも獲得した凛とサヤは
学業における飛び級と同じような形で、本来のセオリーである高〇卒業を待たずして前倒しでBZMに正式入団を果たすことになる。
そして、凛とサヤはここで腕っぷしとは別の、エンターテイナーとしての天才的なセンスも発揮して
・他団体の選手たちとの交流戦で行う「タイトル流出のかかったスリリングな防衛戦」
・男子プロレスラーとの過激な「男女混合マッチ」
・学生プロレス時代のライバルをリングに呼び込んでの「神童対決」
など、老舗ゆえに鎖国気味で保守的だったBZMの良くも悪くもクラシカルな風土に大きな風穴をあけ
ファンを熱狂させる新しいアイデアで新時代を作り上げていった。
皮肉にも、団体を存続の危機に追い込んだ若き外敵が、救世主となってそのピンチを救う形となったのである。
その頃、2人に恐れをなした姫華と舞は他団体へ移籍し、そこでも相応の地位まで上り詰めるのだが
BZMとの交流戦にだけは頑として出場せず、凛・サヤ組との3度目のタッグマッチからは引退まで逃げ続けることになるのだが……それはまた別の話。
【終】
【描き下ろしイラスト】
【前作イラスト】
【おまけ:姫華キメ顔】
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