【小説付き】にんげんさんへあったかおににり (Pixiv Fanbox)
Published:
2026-01-23 09:00:31
Imported:
2026-06
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Content
オマケ小説「おににり」
仕事での小さなミスが、今日は不思議なほど重なった。
そのたびにパワハラ気味の上司は声を荒げ、
同僚や後輩は、こちらを見てひそひそと笑っている。
「なんでこんなこともできないんだ!」
そう言われるたび、胸の奥がじわじわと冷えていく。
自分は、誰の役にも立っていないんじゃないか。
必要とされてもいないし、愛されてもいない。
生きている意味なんて、本当はどこにもないんじゃないか。
重たい足取りで帰宅し、玄関の扉を開けた瞬間――
「おかえりなさい!にんげんさん!」
聞き慣れた、少し高い声。
台所から急いで走ってきた夢ちゃんが、
小さな手でお盆を差し出してきた。
「おににり、つくったの。たべてほしくて…」
ほんのり湯気の立つ、何度も何度も練習したであろう、きれいな三角おにぎり。
手に取り、一口かじる。
塩と砂糖、完全に間違えてしまっている甘いおにぎり。
けれども今は、その甘さが胸の奥をじんわりと温かくしてくれる。
張り詰めていた何かが、ぷつりと切れた。
「……うぅ……」
気づいたら、視界が滲んでいた。
涙が止まらない。
夢ちゃんは慌ててそばに来て、ひどく悲しそうな顔をした。
「おいしくなかった?ご、ごめんなさい…」
「違うよ!違うんだ…」
この瞬間、はっきりと思った。
――この子がいる。
――自分を必要としてくれる存在が、ここにいる。
「……幸せだって、思ったんだ」
震える声でそう言いながら、夢ちゃんを強く抱きしめる。
この子を、一生大切にしよう。
この子のために、生きよう。
それだけで、今日はもう十分だった。
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